先日、柿生にある平屋建ての一軒家を拠点としたコミュニティスペース「自然堂(JINENーDO)」に出かけました。自然堂の理念は、都市近郊に残る里山資源を活かしながら、誰もが安心して「ありのままの自分」で過ごせる居場所を提供し、多世代が共に育ち合う「森のようなまち」を育むこと、とあります。
気さくな食事会でした。畑の朝採れ野菜が中心の料理はすべて手作り。どれも素材の味が生きていて、コックさんの気持ちも入り「安心して食べられる」と感じられるものでした。参加者は子どもを含めて20人ほど。初対面の人も多かったのですが、自然と会話が生まれ、あっという間の2時間でした。印象に残ったのが、皆さんが語っていた「建物の力」についてです。自然素材でつくられたこの家は、約40年前に私の両親の終の棲家として設計・施工しました。空き家になり迷っていた時に運よく自然堂さんとの出会いがあり、今では心と体を整える場になっています。
白い漆喰の壁、温かな木の床、大きな窓から差し込む自然光と庭の風景。「どこにいても『包み込まれるような安心感』がある。まるで建物そのものが、人の心をそっと抱きしめてくれているような感覚」と言う人もいます。なぜ人は、古くてもこうした建物に惹かれるのか―それはきっと、新しいものにはない「時間の積み重ね」が宿っているからだと思いました。誰かが住み、語らい、育ててきた歴史や記憶。そんな「気配」が、静かに人の心に寄り添ってくれるのかもしれません。出かけてみてください。
筆者:鈴木 亨(すずき とおる)
株式会社鈴木工務店 会長
一級建築士
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