暮らしのコラム 住まい
 
童謡「あめふり」です。子どもの頃、傘なしで走り回り、シジミ、ドジョウが取れる家の前の小川では、雨水でかさを増した水面に向かって物を投げ込み、流れゆく様を楽しんでいました。
 
さて、住まいにおいて、天の恵みの雨をどう美しく地に戻すか。それは雨どいの仕事です。軒先に設置される横どい、竪どいと升の形状は、機能とデザインに大きく関わります。軒の線を気にして内どいにして隠す工夫もあります。といなしもあります。かやぶきの古民家、平屋建てでは出入り口にのみといを設えて、雨垂れを楽しむことも。瓦屋根からの雨垂れは規則性もあり、板金屋根よりも数段魅力的です。
 
火災で屋根が焼失した、パリのノートルダム大聖堂が修復中ですが、屋根面に外壁からニョキッと張り出す獣の顔をした突起物があります。屋根の雨水を貯め、壁面を濡らさずに勢いよく吐き出す、口を大きく開けた「ガーゴイル」と呼ばれる雨どいです。日本では「掛樋(かけひ)・手水鉢(ちょうずばち)に水を注ぎ込む装置」が該当します。13世紀初期に北フランスに出現したそうで、19世紀以降の改修で完成を見たそうです。ガーゴイルは多くのゴシック様式の建築に見られます。機会があれば見上げてみてください。
 
天気の良いときは見向きもされませんが、といから雨があふれると途端に矢面に立たされます。竪どいをたたいたり、揺さぶったりしてみますが、これは家主の日頃の手入れが不行き届きである結果です。お手入れをしてください。私の一押しの雨どいは竹橋のパレスサイドビルです。
 
 
筆者:鈴木 亨(すずき とおる)
株式会社鈴木工務店 会長
一級建築士
 
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