暮らしのコラム 住まい
 
敦賀新幹線開通に合わせて、東京駅発3番列車で2泊3日の旅に出かけました。能登半島地震復興支援ができればとの旅企画で、15件の公共建築などを駆け足で回りました。築年数が20~30年と古い物件が多く、建物の維持管理と利用状況に興味がありました。天候には恵まれましたが空はかすみがかかったような空気感で、スギ花粉の飛来かと思いきや黄砂の影響と話がありました。幸い花粉症は縁遠いのですが、今年はクシャミが時たま出ます。
 
花粉といえば、家づくりでも暮らし方による要望の変化が見て取れます。共働き世帯が増える中、効率の良い家事動線と、不在時や花粉を気にして洗濯物の室内干しを希望されることが多くなりました。広いひさしの下に物干し場を設けますが、花粉や黄砂は付着の心配が残ります。室内の吹抜けに設けると、冬場には加湿の効果もあり喜ばれます。脱衣・洗濯室の延長に物干しバーを設置し、場所を確保する手もあります。とある調査によると、最も花粉が落ちているのは玄関と勝手口だという報告があるそうです。暮らし方では、扉を開ける前に必ず洋服の埃を落とすひと手間が大事です。
 
さて、今回の旅の話に戻りましょう。築年数を経ても地元で愛される建物は、手入れも行き届き利用されているようでした。一方で、設計者の思いだけでデザインされた建物は、維持管理にお金が掛かり、難儀しているとの説明も。時代や使い方の変化に柔軟に対応する施設建築が愛着を持って使われ続けるように、暮らしの変化に応える家は長く住み続けられます。
 
 
筆者:鈴木 亨(すずき とおる)
株式会社鈴木工務店 会長
一級建築士
 
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