暮らしのコラム 法律
 
裁判員は、法令に従って公平誠実に職務を行わなければならず、裁判の公正さに対する信頼を損なう恐れのある行為や、その品位を害するような行為をしてはならないとされています(公平誠実義務)。また、裁判員は、法令に従って公平誠実にその職務を行うことを宣誓しなければなりません(宣誓義務)。その他、裁判員は、裁判の期日や判決の言い渡し期日に出席する義務(出頭義務)、評議に出席して意見を述べる義務、裁判長が示した法令の解釈に関する判断や訴訟手続に関する判断に従って職務を行う義務を負います。
 
さらには、裁判員は「評議の秘密」と「その他職務上知り得た秘密」を漏らしてはならないとされています(守秘義務)。「評議の秘密」としては、どのような過程を経て判決に至ったのかということや、裁判官・裁判員が表明した意見の内容、評決の際の多数決の数などが挙げられます。また、「その他職務上知り得た秘密」としては、事件関係者のプライバシーに関わる事項や裁判員の名前などが挙げられます。裁判員裁判は公開の法廷で行われるので、法廷で見聞きしたことや裁判員として裁判に参加した感想、裁判所の施設や雰囲気について話すことは守秘義務違反にはなりません。守秘義務は、裁判員を務めている間はもちろん、裁判員の職務を終えた後にも課されます。
 
裁判員がこれらの義務に違反した場合には、裁判員を解任される可能性がある他、罰則を科される可能性があります。
 
 
筆者:福田 隆行(ふくだ たかゆき)
弁護士
第二東京弁護士会
 
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