暮らしのコラム 法律
 
裁判員は、裁判官と共に刑事裁判に立ち会います。裁判では書類や物を取り調べたり、証人や被告人に質問をしたりします。裁判員は、これらの証拠を見聞きした後、裁判官と共に、証拠に基づいて事実を認定し、被告人が有罪かどうか、有罪であるとすればどのような刑を科すのか(量刑)を議論し(評議)、結論を出します(評決)。この評議は非公開で行われます。
 
評議を尽くしても全員の意見が一致しない場合、多数決によって評決します。この多数決は、裁判官と裁判員双方の意見を含む過半数でなければなりません。例えば、被告人が有罪かどうか争われている事件で、裁判員6人全員が有罪との意見であっても、裁判官3人全員が有罪でないとの意見であれば、裁判官と裁判員双方の意見を含む過半数とはならず、無罪判決が言い渡されます。
 
量刑について意見が分かれたときは、過半数の意見になるまで、被告人に最も不利な意見の数を順次利益な意見の数に加え、その中で最も利益な意見によることになります。例えば、懲役5年の意見が2人、懲役7年の意見が4人、懲役10年の意見が3人であった場合、被告人に最も不利な懲役10年の意見の3人を懲役7年の意見の4人に加えます。そうすると、懲役7年の意見が7人となりますので、懲役7年の判決が言い渡されることになります。
 
評決が終わると、裁判長が法廷で判決を言い渡しますが、裁判員はこれに立ち会います。判決の言い渡しによって裁判員の職務は終了します。
 
 
筆者:福田 隆行(ふくだ たかゆき)
弁護士
第二東京弁護士会
 
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