暮らしのコラム 法律
 
裁判員制度が導入された趣旨からすると、できるだけ多くの市民が裁判員として刑事裁判に参加することが望ましいと考えられます。そのため、裁判員になることは法律上の義務とされています。しかし、どうしても裁判員になることができない場合も考えられますので、一定の場合には、裁判員となることを辞退することが認められています。
 
具体的には、(1)70歳以上の人、(2)地方公共団体の議会の議員(会期中のみ)、(3)学生や生徒、(4)一定期間内に裁判員や検察審査員などを務めたことがある人、(5)重い病気や傷害がある人、(6)親族や同居人を介護・養育する必要がある人、(7)事業上の重要な用務がある人、(8)父母の葬儀など社会生活上の重要な用務がある人、(9)妻・娘の出産に立ち会う必要がある人、(10)遠隔地に住んでいる人、(11)その他、裁判員の職務を行うことなどにより、本人や第三者に身体上、精神上または経済上の重大な不利益が生ずる人は、裁判員となることについて辞退の申し立てをすることができます。
 
2023年から、高校生も裁判員に選ばれる可能性がありますが、高校生は「(3)学生や生徒」に当たりますので、辞退の申し立てをすることができます。なお、2022年3月16日、文部科学省は各都道府県の教育長らに対し、生徒が裁判員などとして出頭した際は欠席日数として取り扱わないこと、また、生徒が出頭したことに伴って学習に著しい遅れが生じることのないよう必要に応じて補習の実施などの措置を講じることを通知しています。
 
 
筆者:福田 隆行(ふくだ たかゆき)
弁護士
第二東京弁護士会
 
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