裁判員制度は、市民から選ばれた裁判員が刑事裁判に参加して、職業裁判官とともに、被告人が有罪か無罪か、有罪だとすればどのような刑を科すのかを決める制度です。従来、刑事裁判は職業裁判官のみが担っていましたが、 2009年にこの制度が始まったことで市民が司法の新たな担い手になりました。
裁判員法は、裁判員制度の意義を「司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上に資すること」としています。裁判員制度が始まった2009年から2023年5月末までの間、合計118,967人の市民が裁判員または補充裁判員として刑事裁判に参加しています。しかし、裁判員を経験したことがある人、裁判員経験者からその経験を聞いたことがある人は多くないのではないでしょうか。制度が始まって14年以上が経過していますが、まだ司法に対する国民の理解が深まったとはいえない状況だと思います。裁判員になるために法律知識は必要ありません。しかし、市民が主体的にこの制度に関わらなくては、裁判員は単なるお飾りで終わってしまいます。この制度をより良いものにしていくためには、市民が裁判員制度の現状を知り、その意義を考えること、また裁判員の経験が広く社会に共有されることが必要だと思います。
2023年1月以降は、18歳・19歳の人も裁判員に選ばれるようになり、法教育の重要性が増しています。ぜひ、裁判員制度に関心を持っていただき、この制度を自分たちの社会の問題、ひいては自分自身の問題として考えていただきたいと思います。
筆者:福田 隆行(ふくだ たかゆき)
弁護士
第二東京弁護士会
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