暮らしのコラム 法律
 
私有財産制が保障されている日本では、自分の財産をどのように処分するかを自分で決めることができます。しかし民法は、相続人の生活を保障したり相続人間の公平を図ったりするため、被相続人による財産処分を一部制限しています。この被相続人の財産の中で、一定の相続人が取得することを保障されている割合を遺留分といいます。遺留分を有する相続人は、被相続人の配偶者・子・直系尊属とされ、兄弟姉妹に遺留分はありません。
 
遺留分の割合は、(1)直系尊属のみが相続人の場合は被相続人の財産の1/3、(2)その他の場合は1/2とされ(昭和56年1月1日以降に開始した相続の場合)、これらに法定相続分の割合を乗じた割合が、各相続人に保障されている割合になります。例えば、被相続人Xの相続人に妻A・長男B・長女Cがいた場合、A・B・Cの遺留分は各1/2、法定相続分はA1/2、B・C各1/4ですので、Aには1/4、B・Cには各1/8が保障されることになります。
 
被相続人の遺言などによって遺留分を侵害された相続人は、遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求することができます(令和元年7月1日以降に開始した相続の場合)。先ほどの例で、Xが財産を全てAに相続させる内容の遺言を残していた場合、BとCはAに対して、それぞれ相続財産の1/8に相当する金額の支払いを求めることが可能になります。
 
実際の遺留分の計算は複雑になる場合がありますので、遺留分の問題が生じそうな場合は、ぜひ弁護士に相談してください。
 
 
筆者:福田 隆行(ふくだ たかゆき)
弁護士
第二東京弁護士会
 
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