暮らしのコラム 住まい
 
窓は英語ではウインドー、語源は「wind eye(風の目・風穴)」だそうです。外国では、壁に空いた「穴」であり、火を使う竈(かまど)、囲炉裏でたき火をしたときに出る煙出しの役割です。日本語の漢字は前述の通り「まど」を「窓」と書きます。日本では「間戸(まど)」であり、柱と柱の「間(ま)」(門に太陽の日を組み合わせた表現)とそこをふさぐ役目が「戸」です。その「間戸」を開けることで明るくなります。石、レンガ造、土壁で囲われた外国の建物とは概念が違います。 
 
プランニングで「間」がほしいと思うことがあります。それは2つの空間を取り持つスペースの場合もあります。広縁、廊下は純和風建築でないと見かけなくなりました。農家には軒下に庭と建物をつなぐ接点としての縁・広縁があり、いい「間」合いになっていました。そこに腰掛けてお茶を漬物といただいた記憶があります。まさに外と内をつなぐ重要な「間」であり、「間戸」全開の応接空間でした。今ではデッキがその代役になっていますが、高温多雨な国にはやはり不向きな気もします。屋根を設けると内外の接点に「間」が出現し、雨でも外に出て空気を満喫できます。
 
窓に戻りましょう。省エネ住宅は国の政策課題になっており、補助金も手厚くなっています。壁と窓重視の家づくりは、窓開口が小さく、また開かないFIX窓が多くなり、「間戸」の発想は大きく後退して自然通風の少ない設計が多くなっています。窓は採光、通風、眺望のどれもが大事だと考えます。
 
 
筆者:鈴木 亨(すずき とおる)
株式会社鈴木工務店 会長
一級建築士
 
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