国は、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて住宅にも各種補助金事業を行っています。今回は窓の改修工事(リフォーム、リノベーション)のお話です。木造住宅では夏に窓から流入する熱の割合は約70%、冬は約50%が流失するデータもあります(※YKK AP「窓の教科書」より)。熱貫流値では、窓は壁より7~12倍の熱を通します。窓の性能向上は快適な暮らしの第一歩です。
窓の補助金対象改修工事は、(1)ガラスのみを複層(ペア)ガラスなどへ交換、(2)内窓(インナーサッシ)を既存窓の内側に新設、(3)外窓交換(カバー工法)で既存窓枠の上から新たな窓枠を覆いかぶせ、複層ガラスなどに交換、(4)外窓交換(ハツリ工法)で既存窓・枠ごと交換、といった方法があります。コストを比較すると、およそ(1)を基準にして(2)が2.6倍、(3)と(4)は3.8倍。(4)は外壁補修工事が必要です。築年数によりますが、(4)は断熱・耐震改修と合わせて行うと合理的です。
高性能化が進む「ウインドー・まど」ですが、求める基本要素は3つと考えます。まずは「採光」。明るい部屋を皆さん希望されます。次が「眺望」ですが、すてきな景色の敷地はまれです。眺望を求めて窓の位置を考えます。3つ目が「換気・通風」。日本の伝統建築は柱の間を引戸とし、大開口にしています。「間戸」が「窓」という説もあります。性能の良い窓を設置しても、隙間があっては冷気が自由に出入りして窓性能が発揮されません。隙間、気密を上げることで暮らしやすさを体感できます。
筆者:鈴木 亨(すずき とおる)
株式会社鈴木工務店 会長
一級建築士
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