暮らしのコラム 法律
 
任意後見制度は、判断能力がしっかりしているときに、将来判断能力が不十分な状況になった際に財産の管理などをしてくれる人(任意後見人)を選んでおき、実際に判断能力が不十分な状況になったときに、その人に財産管理等を行ってもらう制度です。この制度を利用するには、任意後見人になってくれる人との間で、財産管理等に関する契約(任意後見契約)を、公正証書によって結ぶ必要があります。任意後見人にどのようなことを任せるのかはこの契約で決めることになりますが、代表的なものとしては、預貯金の管理や介護契約・施設入所契約・医療契約を結ぶことなどが挙げられます。
 
任意後見契約の効力を生じさせるためには、本人の判断能力が不十分な状況になった後に、本人や親族などが家庭裁判所に任意後見監督人(任意後見人の職務を監督する人)の選任を申し立てる必要があります。任意後見監督人には、親族ではなく第三者(弁護士などの法律専門家)が選ばれることが多くなっています。
 
任意後見契約は、事実行為(介護や身の回りの世話など)や死後事務(葬儀・火葬手続きなど)を任せることを目的とするものではありません。そのため、これらを頼みたい場合は、任意後見契約とは別に契約を結ぶ必要があります。任意後見契約を結ぶ際、併せて、定期的に本人の健康状態を確認する契約、判断能力が不十分な状況になる前から財産管理を任せる契約、死後事務について任せる契約などを結ぶことも行われています。
 
 
筆者:福田 隆行(ふくだ たかゆき)
弁護士
第二東京弁護士会
 
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