高齢者人口の急速な増加に伴って、認知症の患者も増え続けています。認知症になって判断能力が衰えると、自分ではお金を使えなくなったり、病気になっても病院と入院契約を結べなかったりすることが起こりえます。最期まで自分のことは自分でできるに越したことはありませんが、万が一認知症などによって判断能力が衰えた場合に備えて、予め、身の回りのことや財産の管理をしてくれる人を決めておくことができれば、安心して老後を迎えることができるでしょう。
任意後見制度は、判断能力がしっかりしているときに、将来判断能力が不十分な状況になった場合に後見人(任意後見人)となってくれる人を選んでおき、実際に判断能力が不十分な状況になったときに、その人に財産の管理などを行ってもらう制度です。判断能力が衰えたときに財産の管理などを行ってくれる人を選任する制度としては、法定後見制度(成年後見、保佐、補助)もあります。法定後見制度では、後見人などは家庭裁判所が選任するため、面識のない人が選任されることもあります。任意後見制度は、自分が将来の生活を任せたいと考える人を予め後見人に選ぶことができ、また、その人にお願いする内容も自分で決めることができるという点に特徴があります。
任意後見人は、親族にお願いすることができるのはもちろん、弁護士などの専門家に依頼することもできます。老後の安心設計ともいわれる任意後見制度の活用を検討してみてください。
筆者:福田 隆行(ふくだ たかゆき)
弁護士
第二東京弁護士会
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