水平線から顔を出す太陽の位置が日に日に東へと移動し、陽射しも強くなるのを実感しながら、毎日ご来光に対面しています。それでもまだ早朝の外気温は低く、室温は18℃を切るぐらいです。寝間着姿では肌寒く感じます。庭に放し飼いをしていた柴犬は、冬は陽射しを求めて陽だまりで丸まっていましたが、そうした風景から解放される季節ももうすぐです。
東京の冬の南中高度はおおよそ31度と低く、南側との隣棟間隔、庭先に常緑の大木でもなければ家の奥まで日射は届きます。これからの季節は、太陽がだんだん高い軌道を通り、日射の入射範囲は狭くなります。一方で、暖かさとともに我々の行動範囲は広がっていきます。縁側があれば、そこでのんびりと一日を楽しむ手もあります。同時に紫外線の影響も気になりますが、この時期は庭木の新芽もようやくほころびかけたころで紫外線避けにはなりません。
さて、春の陽射しを楽しむにも気密・断熱そして蓄熱が大事です。古い家は、床下から天井へと壁体内を空気が自由に移動しています。そうした隙間に「気流止め」の改修工事をすることがあります。隙間風を退治することは気密を高めること。そして、窓辺には蓄熱できるものを。床や壁の一部でも蓄熱量のあるタイル仕上げなどにすれば、蓄熱と同時に観葉植物も置け、加湿もしてくれます。こんな工夫をすることで暖房終了時期をひと月ほど短縮することも可能です。基本は、「ふさぐ(気密)」、「つつむ(断熱)」、「ためる(蓄熱)」です。
筆者:鈴木 亨(すずき とおる)
株式会社鈴木工務店 代表
一級建築士
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