暮らしのコラム 法律
 
なぜ遺言書を作成しておいた方が良いのでしょうか。それは、残された家族や親族の間で遺産を巡る揉め事が起こることを避けるためです。家庭裁判所では年間1万件以上の遺産分割事件が取り扱われており、そのうち半数以上が1年以上の期間をかけて争われています。遺産を巡る揉め事は深刻化・長期化する傾向があります。相続が「争族」と言われるゆえんです。
 
遺言書は一部の資産家のためだけのものと思われがちですが、遺産を巡る揉め事は遺産の多寡に関わらず起こります。そのため、一般的な家庭でも遺言書を作成する人が増えており、毎年約10万件の公正証書遺言が作成されています。
 
遺言書は、どのような人にも作成してほしいものですが、特に、(1)不動産を持っている人、(2)相続人に民法で定められた相続分とは異なる割合で相続させたい人、(3)内縁関係にある人・連れ子・お世話になった人など相続人ではない人に遺産を譲りたい人、(4)相続人となる人同士が不仲な人、(5)相続人がいない人、(6)事業をしている人、(7)社会に役立てるために特定の団体などに遺産を譲りたい人は、遺言書を作成することをおすすめします。家族や親族が揉め事に巻き込まれないようにするため、遺言書を作成することを積極的に検討してみてください。
 
なお、遺言書の作成方法には一定のルールがあり、これを守らない場合、せっかく作成した遺言書が無効になってしまうこともあります。遺言書を作成する際は、ぜひ弁護士に相談してください。
 
 
筆者:福田 隆行(ふくだ たかゆき)
弁護士
第二東京弁護士会
 
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