大規模改修で暮らしを変えるリノベーションを考えてみたいと思います。
戸建ての場合、最近は耐震改修と温熱環境の改善を主におすすめしています。家族と暮らした記憶を大事にしつつ、改修で気持ち良い暮らしができればと決断されます。リノベーションと言っても、その規模や工事範囲には開きがあります。例えば、構造躯体のみを残したスケルトンにして耐震、温熱を充実した新築並みの性能にするフルリノベ。2人になられた方に多いのは、余生を考慮し、エリアを限定したリノベです。物置になっているような2階にはあえて手を付けず(使わない部分を撤去するダウンサイジングがおすすめなのですが)、1階のみを改修するのもその一例です。
改修にあたり、建物の状態を確認するインスペクション・住宅診断を行います。目視を中心に、床下から小屋裏、屋根を点検し、報告書を作成して建物の健康状態を見える化します。見た目は大したことがない天井の小さな雨ジミが、壁を開けると柱と周辺の構造材を大きく腐食させていたりと、小さなシミ一つでもおろそかにできません。また、建物の垂直、水平性も大きな問題を孕んでいることがあります。経験と資格を持ったインスペクターの判断が大事です。
新築ではないもう一つの選択としてのリノベーション。自然にある恵みを生かして、暑さ・寒さのストレスの原因を取り除くなど、今の住まいを「より快適に、健康に、豊かに暮らせる」器に変えることはできます。室内のお化粧よりも建物本体から考えてみませんか。
筆者:鈴木 亨(すずき とおる)
株式会社鈴木工務店 代表
一級建築士
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