『わたしとあそんで』(作:マリー・ホール・エッツ、訳:与田凖一/福音館書店)、やさしい雰囲気が漂うこの本を、子どもたちと何度読んだことでしょう。野原で小さな女の子が、バッタ、カエル、カメ、ウサギ…と出会うたびに「わたしとあそんで」と近づきますが、みんな逃げてしまいます。誰も遊んでくれないので、しょんぼり水辺で座っていると、今度は逃げた動物たちがそっと戻ってきて…。「ああ、わたしはいま、とってもうれしいの。とびきりうれしいの」。ここはいつも胸がいっぱいになる場面です。
「ほんの森」でも似たシーンがあります。最初のうちは声をかけても後ずさりをする子も、そっとしておくと段々と近寄ってきて、そのうち膝の上で本を読んでもらうようになります。人なつこい子、人見知りの子、子どもにもそれぞれのペースがあるのです。大人は早く友達ができるといいと思いがちですが、急いで友達にならなくてもいいと感じます。特に小さいうちは、一緒の空間にいるだけでも言葉無しのコミュニケーションがあります。
何だか駆け足をしてしまうこの頃。みんなのように上手に食べられないとか、一緒に遊ばないとか、お母さんにくっついてばかりいるとか、つい心配してしまいます。でも、大丈夫。この本のお日様みたいに、ゆったり見守ってあげてください。(がんばっている自分自身のことも…。)
コラム筆者:米倉 由布子(よねくら ゆうこ)
白山子ども図書館ほんの森
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