渡辺 恭子さん(麻生区在住)
国内外で活躍を重ねてきたスターダンサーズ・バレエ団のプリマバレリーナ渡辺恭子さんが、「アルテリッカしんゆり2019」で、同バレエ団の人気作品「シンデレラ」の主演を務める。アルテリッカでの上演は6年ぶりとなる同作品、「演じるダンサーが変わり、前回とはまたニュアンスが異なる化学反応を楽しみながら演じたい」と意気込む。
渡辺さんがバレエを始めたのは5歳の時。本当は自らが子どもの頃に習いたかったという母親に連れられ、友人の発表会を観に行ったのがきっかけ。特定の人にだけ当たるスポットライトの理由を尋ねたときに「頑張った人にだけ当たるのよ」と言った母の言葉は、その後の渡辺さんを後押ししていった。
中学2年でフランスに渡り、数々の国際バレエコンクールでの金賞受賞などを経て、国立高等音楽院コンセルヴァトワールに入学。首席卒業後、チューリッヒ・オペラ座バレエに入団し、翌年ライプツィヒ・オペラ座バレエに移籍。しかし怪我などで暗然とし、一時期はバレエから離れたいと思ったことも。帰国し、子ども時代に通っていた胡桃バレエスタジオで助手をしていた時に、「バレエは大好きだけれど自分の人生にはバレエしかない」と落ち込んでいると、「これしかないと言えるほど、力を注いできたことを誇りに思いなさい」と先生に言われ救われたという。日々スタジオで小さな子どもたちの頑張る姿に触れるうち、「自分もここからスタートしたんだ」とエネルギーを取り戻し、2008年スターダンサーズ・バレエ団に入団。2013年からは、文化庁在外研修員としてドイツで2年間学ぶことで、さらに大きな進化を成し遂げた。
ドイツ時代には、貧しい家庭の出身でも才能を見い出され活躍しているブラジリアンたちと出会い、心底明るい彼らの生き方からポジティブな気持ちへの切り替え方法を学んだ。「言葉の要らないバレエに国境はありません。元々持っているキャラクターに加え、その作品、音楽をどう理解し表現するかによって、そのダンサーだからこそできる作品というものになると思います。ソロを踊り終えた瞬間、お客様が息をのむ一瞬の静寂。そして一斉に拍手が沸き上がった時には、大きな達成感を感じます」と、バレエへの愛を情熱的に語る。
今回の「シンデレラ」は、おなじみのストーリーに現代的エッセンスも加え、観た後に心温かくなる作品。「シンデレラのお友達のねずみさんが踊る姿の可愛さも見どころ。バレエは敷居が高いと言われますが、小さなお子さんから年配の方まで気軽に楽しんでもらいたいです」
★スターダンサーズ・バレエ団公演「シンデレラ」全2幕
開催日時:2019年5月11日(土)・12日(日) 14:00開演(開場13:15、13:40よりプレトーク有)
会場:昭和音楽大学 テアトロ・ジーリオ・ショウワ
※渡辺さんは11日(土)に出演
※詳細はアルテリッカしんゆり2019公式WEBサイト(http://www.artericca-shinyuri.com/)参照