樋口 誠さん

新百合ヶ丘自治会自主防災組織本部長
麻生区自主防災組織連絡協議会会長
川崎市自主防災組織連絡協議会副会長
樋口 誠さん(麻生区在住)

 
 
防災の日を迎え、大災害を想定した防災訓練などが各所で実施されています。「地域の防災力を高めるためには、一人ひとりが自らの命を守る自覚を持ち、いざという時そこにいる誰もが動ける状況を作っておかねばなりません。万が一大規模災害が起きた際に、自助の意識が共助につながり、多くの家族の安全に結びついていきます」。麻生区内129の自主防災組織が所属する自治体、町内会の初動対応や連携を担う麻生区自主防災組織連絡協議会会長の樋口誠さんにお話を伺いました。
 
航空会社に勤務していたという樋口さんは定年後、新百合ヶ丘自治会の防犯防災研究会発足を機に有志として参加。2008年に自治会会長になると同時に麻生区自主防災組織の本部長となり、同研究会でもそれまでやっていた防犯パトロールだけでなく、実効性のある自主防災組織を作ろうと、自治会始まって以来初めての防災訓練を実施。予想をはるかに超える参加者がいたことに、住民の意識の高さを感じたそうです。以降、研究会の仲間と検討を重ね、防災組織の本部長は継続性と勉強を重ねることが必要であることを重視して、自治会会長との兼務が一般的な本部長には別の人物を据え、防災キャプテンや避難所キャプテンなどの役員も置き、各々が明確な役割分担で活動しやすい自主防災組織を作りました。2014年には新百合ヶ丘自治会長を辞して、自主防災組織の本部長を継続。2017年、麻生区自主防災組織連絡協議会会長に就任。毎年町会連合会が主催する新任本部長、自治会長を中心とした研修会に出席し、災害への備えを喚起しています。
 
自身は都心に出る時などは、出先で非常事態に遭うことを想定し、必ず非常食や水、懐中電灯などをリュックに入れていくのだそう。「自分のところは大丈夫ということはありません。熊本でもまさかあそこで地震が起きるとは誰も思っていませんでした。今まで起きた大きな災害や地震は、いつでも自分の身に起こりうるという認識はしておくべきです。要援護者避難の支援や初期消火など、災害時には住民同士の共助が重要になります」。
 
樋口さんは自主防災組織の活動をする傍ら、「あさお芸術のまちコンサート推進委員会」では副委員長・事務局長としてコンサートを運営。また、日本一の芝生公園を目指す新ゆりアートパークス管理運営協議会や島田生長の森(白山)緑地管理運営協議会を立ち上げたメンバーの一人として活動しています。「地域の繋がりこそが防災に大きな力になると感じている」という樋口さん。多方面にわたる地域貢献活動は、まだまだ続きます。
 
 

訓練の様子
「どうしたらいいのかなと思ったら、今気付いているあなたがまず始めるべき。防災について関心がある人は多いので必ず手をあげる人が出てきます。また、麻生区は土砂災害が懸念される崖地が多く、高齢化が進んでいる地域であることも年頭に置いておくべきです」と樋口さん。写真は防災訓練の様子。