戸谷 達夫さん(麻生区在住)
2016年からテレビや新聞でも動物殺処分問題をテーマにした広告が大きく展開されるようになりました。無駄吠え、噛みつく、散歩がうまくできない、凶暴で飼い主も手が出せない…さまざまな問題を抱える犬たち。「相手は命。玩具でもアクセサリーでもありません。向き合い理解することで、必ず素晴らしい結びつきができる、犬とはそういうものです」
戸谷さんがドッグトレーナーを目指すようになったのは、都内の動物専門学校に通っていた時。動物看護について学びながら、ペットショップでアルバイトをするうちに、多摩区の訓練所へ手伝いに行くように。卒業と同時に同訓練所に就職。競技会などにも多数出場し、訓練士としての実力をつけていきました。そして4年後には独立し、戸谷愛犬訓練所が発足。
海外はしつけ済みの成犬に人気がありますが、日本は子犬ばかり欲しがり、はやりの犬種に飛びつく傾向があります。それでいてうまくしつけられない、飽きた、病気になった、引っ越すから…と管理センターに持ち込む人が後を絶ちません。「どんな事情があろうとも、飼うことを放棄するのは殺すのと同じこと。今は里親を探してくれる所があり、自分でネットに出すこともできるが、最後まで命に対する責任を取ってほしいです」。
反面、救う人たちがいて、戸谷さんも一助になれたらと犬の散歩の手伝いや、出かける時の預かりをしています。「捨てられたり、虐待された保護犬は人間を信じていないので、恐怖心からどう猛になっていたりしますが、トラウマを解きほぐしていくと、やがて穏やかで人に寄り添う犬になります。落ち着いていて頼りになるリーダー(飼い主)がいて、はじめて犬も安定するのです」。
飼い主が亡くなり行き場のなくなった柴犬を、脳内出血で動けなくなった男性に紹介したら、一人では大変なリハビリを犬連れで頑張り、歩けるようになったという事例も。「室内飼いをするようになり、犬も寿命が長くなり介護が大変になりました。でも、長年連れ添って深い絆を感じられるようになるのは高齢犬ならではの魅力。愛犬と共に重ねた思い出は、きっと一生涯の宝になるはずです」
「強情でなかなかしつけが入らなかったり、噛みつき症候群になっていた犬が、ある時を境にしっかりした良い犬になることははよくあるケースです」。写真は競技会での戸谷さん。
東急ハンズでのしつけ教室。
飼い主との訓練の様子。「主役は犬と飼い主さん。犬の言いなりにならず、人が主導権を持つことが大切です」
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