第二部、南極大陸の昭和基地にいる山口直子さん(画面左)と、隊員の内田ヘルベルト陽仁さん(中央)、佐藤士朗さん(右)が質問に答えてくれるコーナー。子どもたちの代表者が順番にスクリーンの前に立ち、南極に関するさまざまな疑問を投げかけた。質問を終えた子どもたちからは、「緊張したけど、たくさん答えてもらえてうれしかった」という声が聞かれた。
南極からの生中継で、その素晴らしさを伝えたい
2018年2月10日、南極と衛星回線をつなぎ、「南極授業」が麻生区の百合丘小学校体育館で行われました。「南極講座!特別編」と題した麻生区PTA協議会・川崎市教育委員会主催、麻生区地域教育会議共催の同講座には、地域の子どもたちや南極に興味がある人など約1,000人が参加。会場は熱気に溢れていました。
中継授業の講師は、第59次南極地域観測隊に同行している川崎市立菅小学校教諭の山口直子さん。麻生区の金程小学校在勤時代、ゲストティーチャーとして迎えた南極越冬隊員の話に感動。国立極地研究所や文部科学省などが実施する「教員南極派遣プログラム」に応募すると見事選ばれ、昨年11月27日に日本を出発してオーストラリアから砕氷艦「しらせ」に乗船。12月20日に南極昭和基地に到り、「子どもたちに南極を知ってもらい、広い世界に興味を持ってほしい」という熱意を持って南極で活動を開始。3月下旬には帰国する予定となっています。
南極は昔の地球のタイムカプセル
前半は国立極地研究所広報室長で地質学教授の本吉洋一さんによる講座「南極は地球・宇宙ののぞき窓」。本吉さんは1981年から計9回南極観測隊に参加し、隊長を3度務めた大ベテラン。ペンギンの子育てや、砕氷艦の海上での揺れの様子、オーロラの映像などを披露した後、南極は昔の地球のタイムカプセルだと説明。地質学者の立場から、南極は隕石の宝庫であることや、昭和基地周辺で見つかったルビーなどの宝石が、約2億年前は南極が超ゴンドワナ大陸の一部で、南インドやスリランカが近くにあった可能性を示していることなどを語ってくれました。また、南極の氷・隕石・岩石を調べることで地球の未来を知ることができ、そのために隊員たちが力を合わせてさまざまな観測を行っていることを子どもたちに伝え、講座を締めくくりました。
衛星回線で現地の隊員と子どもたちが対話
「はい、こちら南極の昭和基地からお伝えします!」 第2部の南極授業「世界の極(きわ)で発見! こんなところに日本人」では、南極の山口さんと中継がつながった瞬間、会場から大きな歓声があがります。
現地の天気は曇り、夏ですが気温は−0.4度。画面には大気を観測するレーダー管理人や地震・重力の観測員など、隊員が次々と登場し、その仕事と南極に魅せられた話を紹介。その後、場面を屋外から基地内にあるスタジオに移して、会場の参加者たちにクイズ形式で南極の自然環境やそこに生きる動植物、隊員の活動などを紹介し、地球の未来や環境を考える授業を行いました。最後の質問コーナーでは、「温暖化すると南極の氷は無くなるの?」「衣類は何枚着ていますか?」「オーロラはどうやってできるの?」「南極に来て一番びっくりしたことは?」など、子どもたちの代表者から多くの質問が出されました。
講座終了後に感想を聞くと、「南極のことをたくさん知ることができてよかった」「オーロラがどうやってできるのか分かってよかった」「クイズが面白かった」「隕石に触ることができて楽しかった」と、子どもたちは目を輝かせながら満足した様子で答えてくれました。
第一部では、クイズを交えて楽しく南極について学ぶことができ、講師・本吉洋一さんのユーモアのある解説に時折会場から笑いが起こった。南極の氷が全て解けると海の水位が約60cmも上がるという話には、参加者たちは驚きの声を上げていた。
第一部で講師を務めた本吉洋一さん(国立極地研究所広報室長、地質学教授)(左)。第二部講師の山口直子さん(写真は昨年10月に弊社にて撮影)(右)。
開始時刻前、会場の体育館の前には長蛇の列が(左上)。会場にはペンギンの姿をしたスタッフも(左下)。南極の氷や南極で見つかった隕石に触れることができるコーナーは大人気(右上、右下)。
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