暮らしのコラム 法律
 
裁判員になるために詳細な法律知識は必要ありません。しかし、市民が責任をもって刑事裁判に参加するためには、事前に裁判員裁判を傍聴して刑事裁判の流れや手続きを知っておくこと、無罪推定の原則や黙秘権の保障といった刑事裁判の理念を十分に理解しておくことが必要です。そして、市民がこれらの機会を得て、刑事裁判の理念が市民の常識となるためには、十分な法教育が行われることが必要です。法教育においては、法律用語を解説することも重要ですが、裁判員裁判をより身近なものとして感じられるようにし、主体的な参加意識を芽生えさせるために、実際に裁判員裁判を傍聴したり、模擬裁判の動画を使って模擬評議を行ったり、裁判員経験者の話を聞いたりするといった体験型の学習を取り入れることが効果的です。
 
私が理事を務めている一般社団法人裁判員ネットでは、これまでに300人を超す市民モニターと共に延べ600件以上の裁判員裁判のモニタリングを行ってきました。また、法教育の実践として、自治体と連携した市民講座や、中学校、高等学校、大学と連携した生徒・学生向けの出張授業を行ってきた他、麻生区内の小学校で小学生向けの体験教室も行っています。市民講座や出張授業では、裁判員裁判の傍聴や独自に作成した模擬裁判DVDを使った模擬評議を取り入れて、現場の雰囲気を感じられる工夫をしています。教育関係者はもちろん、世代を問わず裁判員裁判をより深く知りたい人は、ぜひ問い合わせてください。
 
 
筆者:福田 隆行(ふくだ たかゆき)
弁護士
第二東京弁護士会
 
堀法律事務所
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