暮らしのコラム 住まい
 
終わりが見えないパンデミックの毎日にほとほと嫌気が差していると思います。コレラやスペイン風邪が流行していた当時は、得られる情報は目の前で起きている現実に限られ、死の恐怖に対峙していたのでしょう。現在は情報の多さに疑問を時には持ちますが、リアルタイムで全国や世界の今を知ることができ、対処方法を知ることで安心感はあります。
 
さて、コロナ禍前は家での暮らしに関心を持っている人は少なく、せいぜい家事動線くらいだった気がします。家を考えている人々に「この家でどんな暮らしをしたいか」を尋ねるのですが、「暮らし」から家を考えている人は少なく、こちらも尋ねる準備の大切さを実感していました。
 
しかし、コロナ禍で状況が大きく変わり、皆が家での暮らしを考えるようになってきています。在宅勤務の人が増え、そのための場所の確保も必要に。パソコンに黙々と向かうだけでなくオンライン会議もあり、狭くても個室が求められます。
 
ここまでは場所の確保の話です。もう一つ大事なのが気分転換です。時間が取れれば散歩や運動は最高です。広めのリビング・ダイニングでカップを手に庭の植栽を眺めながらの小休止も素敵です。仕事の手を止めて、額縁のような窓から見える風景を楽しめるだけでも心が休まります。
 
家族で、ゆったりと集える広い部屋は個室が確立されているから意味があるのです。家に対する関心を持つことは、日常生活に心を向けることです。暮らしから家のありようを見つめ直すいい機会にしたいものです。
 
 
筆者:鈴木 亨(すずき とおる)
株式会社鈴木工務店 代表
一級建築士
 
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