
幼稚園教諭と保育士をそれぞれ6年、障がい児支援を5年、計17年間、子どもに携わる「保育者」として歩んできた髙森遼一さん。現在は障がい児者支援施設の職員として働きながら、子どもたちに向けて色鉛筆で描く絵を中心とした個人の表現活動を精力的に行っています。活動や作品を通じて伝えたいのは、「すべての子どもが自分らしく生きられるように」という想いです。
生まれつき色覚異常があり、周囲に理解されずいじめにあった幼少期。絵を描くことは好きでしたが、学校で色使いを指摘されて笑われたことで心に傷を負い、8歳の時に描くのをやめてしまいました。保育者を目指したのは、子どもの気持ちが分かる大人になりたかったから。子どもを一人の人として尊重し、丁寧に接することを心がけています。
髙森さんは保育者として常に学び続けるため、神奈川県主催の子どもに関する講座を毎年受講しています。たゆまぬ探求心で喀痰(かくたん)吸引等研修を受けたり、重度訪問介護の現場を経験したりして、医療的ケア児の対応に活かせる資格も取得しました。
保育者としてキャリアを重ねる中で結婚、愛する息子さんの誕生が再び絵を描くきっかけになったという髙森さん。保育の経験を積み、家族という最も大切な存在ができた今の自分なら、世界中の子どもたちを救いたいという想いを体現できると感じたそうです。息子さんとの時間を何より大切にしながら、髙森さんは家族が寝静まった真夜中に絵を描き進めました。
絵は子どもたちに伝えたい想いを込めて、感性の赴くまま自由に描きます。鉛筆と色鉛筆を使い、カラフルな色使いが特徴です。完成するまでは何の絵ができるか自分でも分からないそうで、動物が好きなので自然と動物になることが多いといいます。今では4歳になった息子さんと一緒に絵を描くことが日課になりました。
絵を描き始めて半年経った頃、SNSで発信した作品が海外に届き、ニューヨークで展示されることに。その後、ニュージャージー、ドイツ、トルコ、日本の歯科医院など、徐々に国内外の子どもに関連する施設で作品の常設展示が広がる中、2025年には柿生こども文化センターにて個展「かきおこども美術館」を開催しました。
「柿生こども文化センターは、愛する息子が0歳の時から一家で通う大好きな場所です。館長や職員の皆さん、地域の方々、家族の支えがあって実現できました」と髙森さん。これを機に地域でさまざまな縁がつながり、学校や教育行政機関でのぬりえワークショップなど、活動が多方面へ。7月1日には横浜市保土ヶ谷区役所で講演会も行いました。

7月18日(土)からは、虹ヶ丘こども文化センターにて個展「虹の丘こども美術館」を開催予定。子どもも大人も気軽に来てもらいたいと髙森さんは話します。絵による創作活動に加え、友人で立体切り紙アーティストの大薗一樹さん(前回vol.011で紹介)と音楽デュオを結成し、定期的に子ども向けコンサートも開催しています。こうした表現活動は、「自由な大人もいる」「じぶんらしさを大切に生きてしてほしい」ということを子どもたちに伝えるためのメッセージでもあります。
「絵も音楽もあくまで保育の手段なので、今後も今の活動を続けていくかは分かりません。どんな自分も認めながら子どもたちの悩みや痛みに寄り添い、挑戦する姿を見せることで、生きていくヒントや希望を与えられたらうれしいです。私の活動や作品を支持し、表現の場を広げてくださった方々、家族や保育者の恩師など、いくつもの出会いがつながって今があることに感謝しています。ゆくゆくはもっと視野を広げ、高水準の保育を子どもたちに届けていきたいです」

Sunshine
【たいようのようなあなたへ】
こどもたちにむけるあたたかいまなざしをおしえてくれたひと。
ふたりだけのやくそくはこころのなかでいまもいきつづけています。
ふたりだけのやくそくの「え」。

《近日開催個展情報》
保育者 髙森 遼一 虹の丘こども美術館
開催期間:2026年7月18日(土)〜8月30日(日)
会場:虹ヶ丘こども文化センター(麻生区虹ヶ丘1-22-1、新百合ヶ丘駅より「あざみ野駅」行バス25分「虹が丘営業所」下車徒歩5分、TEL044-987-3654)
開館時間:月〜土曜9:30〜21:00、日曜・祝日9:30〜18:00
[INFORMATION]
Instagram:@ry011114
取材協力:公益財団法人かわさき市民活動センター柿生こども文化センター
衣装:YOKE












