桜井さん
Photo/Naoya Yamaguchi
メッゾ・ソプラノ歌手(藤原歌劇団団員)
桜井 万祐子さん

 
 
今年、12回目を迎える「川崎・しんゆり芸術祭(アルテリッカしんゆり)」。オープニング公演では、藤原歌劇団がフランスオペラの傑作『カルメン』を字幕付き原語で上演する。初日の4月25日(土)と3日目の29日(水・祝)にタイトルロールのカルメン役を務めるのは、同歌劇団デビューとなるメッゾ・ソプラノ歌手の桜井万祐子さん。「日本では特に人気が高い作品。原作に忠実に演じ、観客の皆様に楽しんで、共感してもらえる公演にしたい」と意気込む。
 
桜井さんは愛知県出身で、イタリア・ミラノ在住。子どもの頃はピアノの道に進みたいと考えていたものの、高校生時代に才能を見出され声楽の勉強を始めた。名古屋芸術大学声楽科を最高得点で卒業後は、在学中に指導を受けた客員教授のすすめで渡伊。国立ミラノ・ヴェルディ音楽院で研鑽を積み、近年は、世界最小のオペラハウスとして有名なイタリアのベッローニ劇場に定期的に出演。また、2014年にイタリアで行われたプッチーニ音楽祭では、オペラ『蝶々夫人』の続編として三枝成彰氏により作曲されたオペラ『Jr.バタフライ』でスズキ役を務め、日本でも愛知交響楽団との共演やNHK FMの音楽番組への出演など、ヨーロッパを中心に世界各地で活躍。「イタリアへ渡った当初は言葉が分かりませんでしたが、国際色豊かなミラノで13年暮らしてみて、言葉だけでなく、ヨーロッパ人特有の感情表現、恋愛観なども理解できるようになりました」と日常の中で学びを得て、歌や演技の幅を広げている。
 
カルメンを日本で演じるのは2度目。1度目は大学の卒業公演だが、その時はフランス語がほとんど分からず、楽譜に発音をカタカナで書いていたという。「この十数年の間に、ドイツやスペインでカルメンを演じてきましたし、他国出身の歌手が演じるさまざまなカルメンも観てきました。学生時代とは違うカルメンを日本で演じられることが、私自身も楽しみです」と桜井さん。中でも第4幕のフィナーレで、カルメンが恋する闘牛士のエスカミーリョと共に歌う場面を見どころに挙げる。「カルメンは男を手玉にとる悪女と思われがちですが、自分の心に嘘がない。ここでは、甘い歌声でカルメンのピュアな部分を表現したい」と作品に寄せる思いを語る。また、今回は特別企画として、麻生区から桐光学園高等学校合唱部と昭和音楽大学児童合唱団が出演する。「『カルメン』は華やかで、一度は耳にしたことがあるような名曲が多く、親しみやすい作品。敷居が高いと思われがちなオペラの印象を変えるきっかけになったらうれしいです」
 

ステージの様子
ドイツのOpera Classica Europa主催『カルメン』のタイトルロールを演じる桜井さん。
 
 
★藤原歌劇団公演「カルメン」 G.ビゼー作曲 オペラ全4幕〈字幕付き原語(フランス語)上演〉
開催日時:2020年4月25日(土)・26日(日)・29日(水・祝) 14:00開演(開場13:00)
※各日13:15より作品解説有 ※4月26日(日)のカルメン役は二瓶純子(ダブルキャスト)
会場:昭和音楽大学 テアトロ・ジーリオ・ショウワ(小田急線・新百合ヶ丘駅 南口徒歩4分)
料金:S席12,800円、A席9,800円、B席6,800円、C席3,000円(全席指定・税込)
 
【ご予約・お問合せ】
●日本オペラ振興会チケットセンター
TEL:03-6721-0874(平日10:00〜18:00)
URL:https://www.jof.or.jp/
●アルテリッカしんゆりチケットセンター
TEL:044-955-3100(平日10:00〜17:00)※4月1日(水)より毎日営業
URL:https://www.artericca-shinyuri.com/
●マイタウンチケットセンター(窓口販売)
新百合ヶ丘マプレ「写真工房 彩」内
営業時間:9:00〜21:00
定休日:土・日・祝日も営業、不定休