第二次世界大戦後は庭園・洋館ともに大蔵省の所管となり、進駐軍に接収されていた。接収解除後、庭園は東京都が国から無償で借り受けて整備され、1956(昭和31)年より一般公開が始まったが、建物は整備されないまま放置されていた。だが1982(昭和57)年に東京都名勝に指定されたことをきっかけに、6年の歳月をかけて修復し、1989(平成元)年より財団法人大谷美術館によって一般公開が開始されている。現在、旧古河庭園は、大正初期の邸宅庭園様式を留める極めて貴重な事例として、2006(平成18)年からは国の名勝に指定されている。
初夏の晴れた一日、旧古河庭園を訪れた。門をくぐり園に足を踏みいれると、まずその洋館の大きさに度肝を抜かれた。重厚な外観は、主構造は煉瓦造りでスコットランドや英国の別荘建築に近く、内部は和室を取り込んだ珍しい造り(1階が接客用の洋室であるのに対し、2階は一部を除き、大部分が伝統的な和室)になっているという。
地形を生かした広大な庭園は、北側の高台に建つ洋館の下の斜面にバラ園で知られる洋風庭園が、さらに下の低地には滝を持つ日本庭園が配されている。両庭園共に見事でお弁当を持参し、日がな一日過ごしたいと思わせられる素晴らしさであった。
洋館内部の観覧については、現在、往復はがきでの申込みを原則とするガイドツアー方式で見学会を行っているが、1階の食堂と応接室は喫茶室として利用することができるという。さっそく大きな窓いっぱいに広がる庭園の緑を楽しみながら、優雅なティータイムを満喫した。
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旧古河邸
URL:http://www.otanimuseum.or.jp/kyufurukawatei/
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