池田 健児さん

川崎市アートセンター館長
川崎・しんゆり芸術祭実行委員会事務局長
池田 健児さん

 
 
川崎市アートセンターが、この秋10周年を迎えた。川崎市北部の芸術文化振興の拠点として、今や映画や演劇のみならず、ミュージカル、ジャズ、落語など、さまざまな芸術の発信地となっている同センター。日々奔走しながらも、穏やかな笑みで「お客様の表情が見え、市民の皆様のためにやっている実感が、直接感じられることが喜び」と池田さん。
 
大学卒業後、1978年に川崎市役所入庁。財政局などに勤務した後、「音楽のまち・かわさき」のシンボルでもあるミューザ川崎シンフォニーホールでは、事業部長として5周年記念コンサートを執り行った。その後、多摩区長などを経て2015年、川崎市アートセンター館長に就任。
 
都内の名画座を連日のように巡り、日に何本も映画を観ていた学生時代。「昔の女優さんは別世界の人のように美しかった」と目を細める。市内で唯一のミニシアターを持つアートセンターの館長になったことに、えにしの糸を感じることも。館内の映像館では、大きな映画館では上映されないが、ヨーロッパやアジア、南米などの各国で制作された、心に深く残る作品を上映している。また、小ぶりならではの良さを感じられる小劇場では、演者の顔が見え、熱意や気迫が伝わる臨場感のある舞台を味わえる。
 
10周年記念事業として、12月14日(木)~17日(日)には小劇場にて、劇作家・演出家のふじたあさや氏率いる劇団わが町による「クリスマス・キャロル」が上演され、映像館では来年2月3日(土)から、ジャン・ルノワール監督の最高傑作「大いなる幻影」の上映が決定。引き続き、同監督の「恋多き女」の上映も予定している。また、「川崎・しんゆり芸術祭(アルテリッカしんゆり)」も来年10周年を迎え、同センターからも多様なラインナップを展開させていく。
 
「小劇場と映像館を柱に、しんゆり・芸術のまちにふさわしい芸術文化振興の拠点として、また、さまざまな形の芸術文化に触れることができるハイセンスで居心地の良い空間として、地域の魅力を向上させ、ますます愛されるアートセンターを目指していきます」
 
 
川崎市アートセンター正面入口にて
川崎市アートセンター正面入口にて。同センターの入場者は、自主公演・上映などで貸館としての利用も含め、今や年間8万人ほど。「小ぶりだが、臨場感があって、こじんまりした良さを感じてもらっていると思います」
 
川崎市アートセンター10周年記念式典・祝賀会
12月2日に行われた川崎市アートセンター10周年記念式典・祝賀会。ふじたあさや氏率いる劇団わが町が10周年記念事業「クリスマス・キャロル」より歌を披露。