市民参加型ダンス公演「1月29日」
 
「骨格、筋肉、癖など、その人の身体はそのままその人の歴史です。ダンスは個人の歴史と分かち難く結びついていて、切り離すことができません。2023年1月29日、誰の人生にもたった一日しかないこの日に、バラバラな私たちはバラバラなままで一緒に踊ることにしました。生演奏に乗せて踊りあげる人間讃歌をどうぞご覧ください」
 
 

 
 
ようやく実現する市民参加型ダンス公演
 
本公演「1月29日」を主催する山猫団の主宰、長井江里奈さん(ダンサー、演出家)は、2015年春にこの地域へ引っ越してきました。同年11月、麻生区岡上にて「山猫団と作る 岡の上のサーカス」(麻生区地域コミュニティ活動支援事業)を開催。ワークショップを経て市民も舞台に立ち、会場からは大きな拍手が沸き起こりました。この時に参加した子どもたちから、これで終わってしまうのは寂しい、もっとやりたいという声が上がり、岡上でダンスのワークショップを始めることに。続けていると大人も参加するようになって、開催頻度は月に1回から2週に1回、週に1回へと増えていきました。
 
近年は自らが踊るよりも、人を踊らせてダンスの楽しさを広めることに力を入れている長井さん。コーディネート団体を通じて学校などでダンスを教えているほか、全国の公共ホールを現代ダンスで活性化する事業に登録アーティストとして参加し、日本各地で市民参加型ダンス公演の演出を手掛けています。しかし地方へ行くと、9日から10日ほどの時間で舞台を仕上げなければなりません。もったいない、もっと時間をかけたい、そんな思いが今回の公演を企画することにつながっていきます。「じっくり時間をかけて関係性を作れる地元でやろう」。2021年9月に地域で市民参加型のダンス公演を行うため、同年5月頃から参加者を募りました。「ダンス経験がなくても、体が硬くても運動不足でも大丈夫! あなたの思いやエネルギーそのままで、舞台に立って踊ってみませんか」。この呼びかけに心を動かされた人たちが集まり稽古を重ねていましたが、コロナ禍により公演直前に中止を余儀なくされてしまいました。
 
あれから1年と4か月、市民参加型ダンス公演がようやく実現しようとしています。
 
 
さまざまなバックグラウンドを持った出演者たち
 
出演者には子どもから大人まで、さまざまなバックグラウンドを持った人たちがいます。その多くはダンス経験ゼロ。ダンスワークショップや公演の稽古に参加する中で、ダンスの楽しさを知り、自分の可能性に驚き、自信をつけてきました。
 
以前は人前に出るのは苦手だったという榎本鈴さん(小5)は、「ダンスを始める前は、人前で何かしたら変に思われるんじゃないかと思っていたけど、今は平気。ダンスが楽しい。舞台に出て、その楽しさを伝えられたら」と笑顔。稽古でも、人前に出るのが苦手だったという話が信じられないほど、堂々と踊っていました。本番で一番見てほしいところは、ソロで踊る中で真正面に進んでいくところ。鈴さんのお気に入りのシーンです。
 
百合ヶ丘の住宅街に佇む創作和食の店「隠れ家和菜 たまり」店主、粂田真理さんも出演者の一人。参加してみて、「これこそ私が探していた場所、どうして今まで知らなかったんだろう」と参加して感じた粂田さん。稽古で長井さんから「これからどんなふうに踊るのかは、踊っている人にも分からない。その瞬間に見て、感じて、どう体が動くか」というアドバイスを受け、「成功するのかしないのか、良いのか悪いのか、答えは無いかもしれませんが、私がどう踊るのか見ていただければ」と本番への意気込みを語りました。
 
粂田さんに誘われてダンスのワークショップに参加するようになった若浜博志さん(26歳)は、ダンスのイメージを覆されたと言います。「ダンスというと、昔から習っていないと無理、ハードルが高いというイメージを持っていましたけど、体がガチガチの僕でも踊れた。僕もこういうことができるんだということは新たな発見でした」。舞台に立つのは責任を伴うと話す若浜さん。仲間に迷惑を掛けないように自分のパートをしっかり踊ろうという責任感を持って取り組み、ワークショップとは違う緊張感を楽しみながら稽古に励んでいました。
 
 
「普通の人のすごさ」を感じてほしい
 
「本来の踊りは、祈り・喜び・雨乞い・歓喜などに自然に呼び起こされるものであったはずで、そこには年齢も経験も全く関係していません。日本各地でダンスのワークショップをしていて、テクニックなんか一つもない普段着のおばちゃんの踊りに、心が突き動かされることもあります」と話す長井さん。ワークショップや稽古では、「恥ずかしい」「できない」という気持ちを外してあげて、テクニックを教えるのではなく、持っているものを引き出し、その人の自主性・自発性が発揮できるようにしてきました。「出演するみんなは、普通に学校に通ったり働いたりしている、ごく普通の人たちです。1月29日、『普通の人のすごさ』を感じてください」
 
1月29日 稽古風景
 
1月29日 稽古風景
 
1月29日 稽古風景
 
チラシイメージ
チラシ(PDF)
 
 
[INFORMATION]
市民参加型ダンス公演「1月29日」
開催日時:2023年1月29日(日) (1)13:00開演 (2)17:00開演 ※開場は開演の30分前
会場:川崎市アートセンター アルテリオ小劇場(小田急線・新百合ヶ丘駅北口より徒歩3分、川崎市麻生区万福寺6-7-1)
演出・振付:長井江里奈
振付・指導:鈴木綾香
音楽:北園優
出演:池谷昌美、伊藤明子、榎本杏、榎本鈴、Eno Ryu、粂田真理、鈴木由桂、橋村哲、阿部鮎美、舞川るる、山下彩子、若浜博志、鈴木綾香、長井江里奈、北園優(演奏)
舞台監督:下村唯
照明:森規幸
音響:大園康司
舞台美術:ニシハラ☆ノリオ
写真:小林智之
宣伝美術:太田博久
プログラム:サノユカシ
料金:一般2,500円、学生1,500円(全席指定)
チケット購入:ライブポケット(https://t.livepocket.jp/t/ynd0129)より
 
主催:山猫団
助成:かわさき市民公益活動助成
後援:神奈川県、川崎市、川崎市教育委員会、NPO法人しんゆり・芸術のまちづくり
協力:岡上町内会
 
 
【お問合せ】
山猫団
MAIL:info@ynd.tokyo
URL:https://ynd.tokyo/