
多摩川河川敷を活用した交流拠点「登戸・多摩川カワノバ」
多摩川河川敷を地域の新たな活動や交流の場として活用する「登戸・多摩川カワノバ」。ごみの不法投棄や利用マナーなどの課題解決と、多様なニーズに対応した水辺のにぎわい創出を目的に、川崎市が実施する社会実験です。今年度から、自然環境を生かしたアウトドアフィットネスクラブを全国で展開する株式会社BEACH TOWNが本社会実験の実施事業者となり、同社ならではのコンテンツを取り入れた新たな取り組みが始まっています。
登戸・多摩川カワノバは、登戸駅からほど近い多摩川河川敷に設けられた利活用拠点です。長年の間、自由利用が中心だった河川敷に一定のルールと仕組みを設けることで、さまざまな活動に利用できる場所として川崎市が整備を進めてきました。散歩やボール遊び、スケートボード等を自由に楽しむことができる他、事前申請を行えば各エリアを貸し切って利用することができ、多様な活動や過ごし方ができる場となっています。また、事前申請エリアの利用料は、ごみ処理や環境改善に活用されており、利活用によって得られる収益を維持管理に還元することで、持続的な河川敷の利活用を目指しています。
同地を管理する川崎市建設緑政局緑政部みどり・多摩川事業推進課では、今年度からのカワノバの運営を通じて、地域との連携をさらに促進していきたいと考えています。「今年度は、地域との連携を事業の柱の一つとしています。河川清掃をはじめ、多摩川が抱える課題についても、これまで以上に地域の皆さんと連携しながら解決していきたいと考えています」と同課の竹田真由子さん。同課では地域団体や事業者、近隣施設などと協力しながら、多摩川で活動する人や訪れる人を増やし、新たなにぎわいや交流を生み出していくことを目指します。同時に、ごみや利用マナー、水辺で活動する人同士の共存といった課題にも向き合い、河川清掃や環境保全への関心を広げていきます。登戸・多摩川カワノバには、イベントや自然体験を楽しむ場としてだけでなく、地域全体で多摩川を大切にしていくきっかけを生み出す役割も期待されています。
自然をフィールドにしたアウトドアフィットネス
新たに運営を担うBEACH TOWNは、海や川、山、公園といった身近な自然をフィールドに、運動や健康づくりを楽しむ「アウトドアフィットネスクラブ」を展開する企業です。一般的なフィットネスクラブのように、屋内のマシンや設備だけで体を動かすのではなく、地域にある自然そのものを活用することを特徴としています。運動を義務的に続けるのではなく、遊びや体験の延長として自然に親しむことで、心身の健康と環境への関心を同時に育てていくという考えです。
多摩川を挟んだ対岸、和泉多摩川駅前には、BEACH TOWNが運営する「BLUE多摩川アウトドアフィットネスクラブ」があります。約14年前にオープンし、多摩川でのSUP(サップ:スタンドアップパドルボード)をはじめ、河川敷でのランニングやウオーキング、ヨガ、ピラティス、ワークアウト、ボルダリングなど、屋内外を組み合わせた幅広いプログラムを提供しています。
中でも代表的なコンテンツが、ボードの上に立ってパドルをこぎ、水面を進むSUPです。BEACH TOWNの武部竜也さんは、「街から川を見るのと、川の中から街を見るのとでは、景色の見え方がまったく違います。川に出ることで、自分たちの暮らす地域を新しい角度から見ることができます」と話します。多摩川を活動の場として長年向き合ってきた同社では、自然の中で体を動かす楽しさを伝えるだけでなく、川に親しむ人を増やすことが、河川環境への関心や美化にもつながると考えています。「川を訪れる機会や、川を好きになるきっかけを増やしていきたいです。私たちの活動が、川崎市と狛江市、そして地域の人と人をつなぐ橋渡しのような存在になれたらうれしいです」。同社ではこれまで培ってきた水辺での安全管理や自然体験のノウハウを生かし、登戸・多摩川カワノバでも、多摩川ならではの新たな楽しみ方や地域とのつながりを生み出していきます。


ナイトSUPや子ども向け自然体験も計画
夏季の新たなプログラムとして準備を進めているのが「ナイトSUP」です。SUPボードに防水のLED照明を取り付け、日没を迎えた多摩川の水面を進みます。暗くなった川の上にボードの光が浮かび上がり、水中を泳ぐ魚の影が見えることもあるといいます。日中とは違う幻想的な多摩川を体験できる企画として、7月から8月にかけての開催が計画されています。

子どもたちを対象とした自然体験プログラムも検討されています。服を着たまま水に入った際の動きにくさや危険性を学ぶ着衣泳と、複数人で乗ることができる大型のSUP、焚き火などを組み合わせた日帰り型のサマーキャンプです。
川遊びは楽しい半面、自然の水辺にはプールとは異なる危険もあります。実際の川で体を動かしながら、安全に遊ぶための知識や行動を学べる場をつくることで、子どもだけでなく、見守る保護者にも水辺への理解を深めてもらいたいと考えています。
また、登戸・多摩川カワノバでは、従来から行われてきたバーベキューに加え、宿泊を伴わないデイキャンプや焚き火などの利用も広げていく予定です。都心部からアクセスしやすい場所でありながら、川や草木を身近に感じられる点は大きな魅力です。遠方のキャンプ場へ出かけなくても、半日や一日でアウトドア体験を楽しむことができます。

地域との連携で広がる多摩川の新たな活用
一方で、登戸・多摩川カワノバで何ができるのか、どのエリアが申請制なのかといった利用方法は、まだ十分に知られていません。今後は現地での案内表示やSNS、地域イベントへの出展などを通じて、カワノバの役割や利用方法を分かりやすく発信していきます。
川崎市は、登戸・多摩川カワノバの中だけで活動を完結させるのではなく、地域のさまざまな団体や施設とのつながりを広げようとしています。地域側から登戸・多摩川カワノバへ足を運ぶだけでなく、カワノバから地域へ出ていく。そうした双方向の連携を積み重ねることで、多摩川を起点に新たな人や活動のつながりを生み出していきます。
9月26日(土)には、二ヶ領せせらぎ館周辺で行われる「登戸の渡しまつり」と連動し、登戸・多摩川カワノバでもイベントを開催予定です。飲食ブースなどが並ぶマルシェ、音楽イベント、水辺のアクティビティなどを組み合わせ、二つの会場を行き来しながら、多摩川の自然や歴史を楽しめる一日を目指します。かつて多摩川の両岸を結んでいた「登戸の渡し」の記憶を、現代の水辺体験としてどのように表現するのか。安全面や運航方法などの調整を進めながら、BEACH TOWNらしい新たなコンテンツの実現に向けて準備を進めています。
BEACH TOWNが持つアウトドアフィットネスや水辺での活動経験と、登戸・多摩川カワノバが組み合わさることで、単なる河川敷から、人と自然、人と地域をつなぐ拠点へと動き始めています。
多摩川で体を動かす人、川辺でゆっくり過ごす人、イベントを開く人、地域の環境を守る人。それぞれの関わり方を受け入れながら、新たな活動や交流を生み出していく登戸・多摩川カワノバ。多摩川を舞台に、地域の日常にどのような楽しみやつながりが生まれていくのか、今後の展開が注目されます。

[INFORMATION]
株式会社 BEACH TOWN(BLUE多摩川アウトドアフィットネスクラブ)
東京都狛江市東和泉4-11-21
TEL:03-3430-3117
MAIL:info@blue-tamagawa.jp
営業時間:月〜木曜9:00~21:30、土曜8:00~19:00、日曜・祝日8:00~18:00
定休日:金曜(祝日の場合も休業)、年末年始
URL:https://www.blue-tamagawa.jp/
登戸・多摩川カワノバ
Instagram:@info_kawanoba












