暮らしのコラム 住まい
 
このところ戸建て住宅、マンションのリノベーション(大規模改修)の問い合わせが増えています。戸建ては1981年の新耐震基準を境に家の構造基準が強化されましたし、2000年以降はその基準がさらに上がりました。リノベを前提に古家付きの土地を購入するなど、終のすみかとして新築の他にリノベの選択を考える人もいます。
ところで、建物や土地の価値は永続的に同じというわけではありません。周辺環境や経年劣化、その時の物価などで変動します。木造住宅の法定耐用年数は22年。家の耐久性が向上し、国も中古住宅市場の活性化を後押ししていますが、不動産屋の評価は20年でゼロが一般的です。また、古家のリノベでは固定資産税は低いまま。一方、新築では20余年間で支払う固定資産税は大きな金額になります。
オーストリア、北イタリアで訪問した住宅の質の高さと金額に驚きました。建物だけで1億超の家でした。オーストリアでは「家の価値」に対して融資が行われ、売却時にほぼ同額かそれ以上になるそうです。日本では生命保険に加入した個人に金を貸し、建物は20年後には資産価値ゼロに。良質な家の建築は難しいのが現状です。
家のつくり手からすると、リノベであろうと耐震、温熱環境を担保することに問題はありません。新築でもリノベでも、冬温かく、夏涼しい家で過ごすことで体への負荷を減らし、高齢になっても光熱費の心配がなければ健康で快適な暮らしを楽しむ余地も広がります。
 
 
筆者:鈴木 亨(すずき とおる)
株式会社鈴木工務店 代表
一級建築士
 
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