
昭和音大生が企画 スペインの記念すべき年に贈る特別公演
2026年は建築家・ガウディの没後100年、スペインを代表する作曲家・ファリャの生誕150周年という、スペインにとって記念の年です。その節目にあわせ、昭和音楽大学アートマネジメントコース3年の岩谷風雅さんが企画したのが「スペイン二つの貌(かお)」です。
本公演では、作曲家ファリャをはじめとする、スペインにゆかりのある作曲家・作品を中心に演奏します。学生が企画・制作・運営まですべてを担い、出演は同大学の教員が務めます。スペイン音楽研究家や、サグラダ・ファミリアで演奏経験をもつ教員など、スペイン音楽に造詣が深い教員がいる大学だからこそ、実現した貴重な公演です。
「情熱」と「静謐」—スペイン音楽がもつ二つの魅力
企画者の岩谷さんは、「サグラダ・ファミリアの主塔完成」のニュースから、この企画を思いつきました。スペインといえば、フラメンコに象徴される情熱のイメージが強いですが、企画を掘り下げていくうちに、キリスト教文化に根ざした教会音楽の「静謐(せいひつ)さ」こそが、スペイン音楽を語る上で欠かせないと気づいたそうです。
情熱的な一面と静謐な一面。岩谷さんはその二面性に驚き、魅力を感じました。教会ミサで歌われたビクトリア「アヴェ・マリア」の、静かに心に染み入る合唱や、情熱がほとばしるファリャ「『7つのスペイン民謡』より」など、選曲を通してその「二つの貌」を表現します。
注目は演奏難度が非常に高いことで知られる、ワックスマン「カルメン幻想曲」
本公演の目玉は情熱を象徴する一曲、ワックスマン「カルメン幻想曲」です。「カルメン幻想曲」には複数の作曲家による作品がありますが、今回演奏されるのは、天才バイオリニスト、ヤッシャ・ハイフェッツのためだけにワックスマンが作曲した超絶技巧の難曲。ミスを恐れ、多くのバイオリニストが敬遠するため、生演奏の機会が極めて少ない作品です。
今回その難曲に挑戦するのは、元NHK交響楽団でコンサートマスターを担当していた同大学の伊藤亮太郎先生です。
「伊藤先生の繊細な技巧のバイオリンは、スペインの情熱を描くうえで、この上ないと思いました」という岩谷さんの出演交渉を受け、彼の熱意に応えたいという伊藤先生の思いから、今回の演奏が実現しました。
新百合ヶ丘初公演!スペインのオペラ「サルスエラ」
静謐を象徴する一曲は「サルスエラ」のスペイン舞曲集。「サルスエラ」とは、スペインで育ったオペラのような舞台芸術です。サルスエラは日本ではなかなか聴くことができません。新百合ヶ丘では今回が初上演となります。演奏するのは、同大学の教員でありスペイン音楽研究家・濱口典子先生と、ソプラノの廣田美穂先生。ソプラノの静謐な声とピアノで、サルスエラの名曲が奏でられます。
また、ビクトリア「アヴェ・マリア」では、サグラダ・ファミリアで行われる礼拝のミサでの合唱隊の雰囲気を表現します。合唱隊は同大学の声楽コースの学生の中から編成されます。
初心者からクラシック愛好家まで楽しめるプログラム
プログラム編成は、ギターやピアノ、バイオリン、声楽に合唱と多彩です。情熱はバイオリン、クラシックギターの弦楽器で、静謐はソプラノの声楽や合唱で表現し、ピアノがその両者をつなぎます。情熱と静謐を交互に感じられるように、プログラムの順番にもこだわっています。
「静かなだけだと飽きてしまう。激しいだけだと疲れてしまう。メリハリをつけて常に楽しめるようにプログラムを考えています。」と岩谷さん。「アルハンブラの想い出」や「カルメン幻想曲」など広く知られる名曲から、「サルスエラ」のようなあまり演奏機会のない曲まで。クラシック愛好家も初心者も、両方楽しめるような公演内容になっています。
「クラシックコンサートは上品なイメージがあるかと思いますが、本公演は終演後に面白かったなと感じてもらえたらうれしいです」
スペイン音楽研究家・濱口先生によるプレトークも行われ、スペイン音楽に関する理解を深めたうえで鑑賞できるのも魅力です。また、ルネサンス期から近現代まで幅広い時代のスペイン音楽が演奏されるため、スペイン音楽の長い歴史を感じながら楽しむこともできます。
1年かけて学生たちが挑んだ公演制作
本公演は、企画から制作、当日の運営まで、アートマネジメントコース3年生の学生たち11人が担います。準備期間は約1年。プロデューサーとして皆の意見をまとめていくのが大変だったと話す岩谷さん。制作の途中で涙を流す学生もいたそうです。
「制作の過程で苦しいことがあっても、終演後のお客さんの満足そうな顔を見ると、やってよかったと感動します。それがプロデューサーという仕事のやりがい、魅力だと感じています」
アートマネジメントコースの担当教員、中尾友彰先生はこう語ります。
「コンサート企画のプロである私でも、このコンサートを実現するのは大変です。もし、作ることができたとしても価格は2~3倍。この価格が実現できたのは、学生の企画ならではだと思います。若いプロデューサーのデビュー公演を応援しに来るという意味でも、ぜひ観に来てほしいですね」
学生たちの情熱と、教授陣の熟練の演奏。昭和音楽大学だからこそ実現した本公演。ゴールデンウィークは新百合ヶ丘でスペイン音楽の旅を楽しんでみてはいかがでしょうか。

[INFORMATION]
スペイン二つの貌 〜ガウディ没後100年・ファリャ生誕150年記念の年に〜
開催日時:2026年5月2日(土)15:00開演(開場14:30) ※14:35頃〜プレトーク有
会場:昭和音楽大学 ユリホール(川崎市麻生区上麻生1-11-1 昭和音楽大学南校舎5F、小田急線・新百合ヶ丘駅南口より徒歩4分)
出演:伊藤亮太郎(ヴァイオリン)、佐々木祐子(ピアノ)、廣田美穂(ソプラノ)、濱口典子(ピアノ)、河野智美(ギター)、他
曲目:
《第1部》タレガ:「アルハンブラの想い出」、ファリャ:「7つのスペイン民謡」より、モンポウ:「歌と踊り」第6番、他
《第2部》サラサーテ:「アンダルシアのロマンス」、ワックスマン:「カルメン幻想曲」、他
料金:一般3,000円、学生1,500円(全席指定)
※未就学児入場不可
※学生=小学生~大学生(会場にて要学生証提示)
※障がい者割引につきましてはお問合せください。
主催:昭和音楽大学音楽芸術運営学科アートマネジメントコース
【お問合せ】
昭和音楽大学アートマネジメントコース企画制作室
MAIL:art-3@st.tosei-showa-music.ac.jp
★チケット情報など詳細はこちら
https://pont.co/u/25_tunagu_atm












