山口直子さん

川崎市立菅小学校教員
 山口 直子さん (麻生区在住)

 
 
11月27日、南極に向かう第59次南極地域観測隊。現在、菅小学校で3年生を受け持つ山口さんが、その夏隊に同行する教育関係者として選ばれました。「この経験を伝えることで、子どもたちがいろいろな世界を知るきっかけになれば」
 
子どもの頃からスポーツが好きで、サッカー、陸上競技、アメリカンフットボールから登山まで、何でもこなす山口さん。カメラマンを目指し、重いカメラを抱えて取材現場などを歩き回っていましたが、フラッグフットボールのコーチとして2006年に川崎市内の小中学校で指導を頼まれたことを機に、子どもって面白いと教員免許を取得。産休代替、臨時任用などを経て、2012年には金程小学校の正規教員に。「最初の頃は怒りまくっていたので、学校一怖い先生と言われていたんです」と、笑いながら当時を語ります。「先生としての素地を作ってくれたのは金程。アットホームで、あったかい地域でした。南極に行くと知ったら、当時を知る子どもたちや保護者の皆さんは噴き出すと思う。あの先生ならやりそう…と」 
 
金程小学校在勤時代、ゲストティーチャーとして迎えた南極越冬隊員の話に感動。教員派遣プログラム公募があることを聞いて、もうじっとはしていられなかったそうです。「南極の氷の上に広がる青空をこの目で見てみたい」。子どもたちにいろいろな世界があることを伝えたいという情熱と共に、国内各地での登山経験、取材撮影・旅行などの海外渡航経験が豊富だったこと、そしてスポーツ歴が充実していたことと、誰よりも強い好奇心が運を引き寄せました。「選ばれたと分かった時、想像していたことが現実になるんだと、うれしくて鳥肌が立ちました」
 
11月27日に日本を出発し、豪州フリーマントルから砕氷船「しらせ」に乗船。12月末に南極昭和基地に到着し、活動が始まります。同行枠と言えども貴重な労働力。ペンギン調査や地質調査、湖沼調査、建設作業など、助手としてさまざまな体験をすることになるそうです。
 
来年2月10日には、子どもたちや南極に興味がある多くの人に、南極がどんなところなのかを知ってもらうため、衛星回線で昭和基地と学校をつなぎ中継する「南極授業」を百合丘小学校で行います。「子どもたちには広い世界に興味を持ち、自分で考え行動することの素晴らしさを知ってほしいですね。3月末の帰国後は教師としての仕事を続けながら、市内の子どもたちに向けてや市民講座などで、積極的に南極に関する情報を伝えていきたいです」と、爽やかな笑顔で語ってくれました。
 
 
授業の様子
算数の授業を行う山口さん。「子どもの頃から体育や音楽など、椅子にじっと座っていなくてもよい科目が好きでしたが、教員になってから算数や理科が好きになりました」。
 
谷川岳登頂
今年3月、谷川岳で雪洞を掘り泊まった翌日、頂上へアタック(右から3番目が山口さん)。「南極の環境は山の環境にとても似ています。物にも人にも頼らずに、自分のことは最初から最後まで自分でしっかり責任を持つ気持ちがないと…」
 
支給品
南極で使うことになる支給品の数々。

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