暮らしのコラム 住まい
 
シャンソンといったら「枯葉」しか知りませんが、あの落ち葉の上を歩く心地はすてきです。推定樹齢200年超のケヤキが会社にあります。太く伸びた幹は天を突くような存在感です。春先に淡緑の新芽が発芽、5月には日差しから我々を守るように濃緑の葉が茂ります。真夏はさらに青々とした葉が地面に木陰を描き、涼しさを提供してくれます。そして、10月から徐々に黄色く色付き、晩秋に一気に落葉します。
 
「家」には「庭」があり家庭になると思って家づくりをしています。多くの人は、一生に一度の「家」づくりですから、心が建物にだけ集中するのは無理もないのですが…「be spoken」で要望を聞き、お互いに気づき合うようにしています。その中で、季節ごとに庭木が目を楽しませてくれること、夏には緑陰を抜ける心地よい風の話をします。
 
木の成長は意外と早く、3年で葉張りがしっかりし、10年過ぎると幹が太く高くなり、木陰は子どもの良い遊び場になります。しかし最近は、庭木の少ない家が増えました。庭先での楽しい声も聞こえずコミュニティーが活気づきませんし、趣のある街並みにもなりません。手入れに費用を要するためか、道に張り出した枝が通行の邪魔になるのも困りものです。そうした光景が植木を敬遠する原因の一つでしょうか。
 
緑陰はそこを抜ける光線で表情を変え、見ているだけで心が休まります。五感を楽しませてくれる葉に感謝しつつ、秋は落ち葉を出勤一番に皆で掃き集めます。次から次と舞い落ちる枯れ葉に文句を言いながら──あぁ、焼き芋が食べたい!
 
 
筆者:鈴木 亨(すずき とおる)
株式会社鈴木工務店 会長
一級建築士
 
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