暮らしのコラム 法律
 
認知症などによって判断能力が衰えた際の財産管理や、自身が亡くなった後の財産承継方法として、家族信託が注目されています。
 
家族信託は、委託者(本人)が、財産を受託者(家族など)に移転し、受託者が、委託者が設定した信託の目的に従って、受益者(信託の利益を受ける人)のために財産の管理・運用・処分などをするものです。信託の目的となった財産は受託者に移転する(受託者の名義になる)ことになりますが、受託者の固有財産からは独立して、受益者のためにのみ運用・管理されることになります。
 
判断能力が衰えた際の財産管理については、法定後見制度や任意後見制度がありますが、家族信託(例えば、子との間で信託契約を締結して子に受託者となってもらい、自身が亡くなるまでは自身が受益者となって財産の給付を受け、自身が亡くなった後は、配偶者を受益者とするような形)を利用すれば、判断能力が衰える前から財産管理を任せることや、後見制度と比べて積極的な資産運用ができるようになります。また、遺言では、二次相続(初めの相続を一次相続、一次相続における相続人が亡くなった際の相続を二次相続といいます)における財産の承継先を指定することはできませんが、家族信託を利用すれば二次相続以降の財産の承継先も指定することができるため、より自身の想いに沿った相続を実現することが可能になります。
 
財産管理や財産の承継方法として、家族信託を利用することを検討してみてください。
 
 
筆者:福田 隆行(ふくだ たかゆき)
弁護士
第二東京弁護士会
 
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