施設内では靴を脱いでゆったりと。清潔で明るく、温かみのある「白いハコ」。
 
地域の人々が協力してつくり上げた、待望の屋内スペース
 
5月10日、多目的レンタルスペース「白いハコ」が向ヶ丘遊園駅北口に誕生しました。4月に開業したばかりの複合施設「GINZA FOREST(ギンザ フォレスト)」2階の一角に設けられたこのスペースには、企画段階から多くの地域住民が関わってきました。「地域の皆様と共に活動できる場所、つながることができる場所をつくっていきたいという思いで、プロジェクトをスタートさせました」と、同施設を手掛ける銀座ホールディングス(株)取締役の鈴木真紀さん。昨年12月に地域住民30人ほどが集まって初めてのミーティングを開き、どんな場所にしていきたいか、自分たちでできることはどんなことなのかなどの意見交換を行いました。それからわずか5カ月の準備期間を経て、地域の人々の思いが取り入れられた同施設はオープンの日を迎えました。
 
向ヶ丘遊園駅北口の目の前、「白いハコ」が入る「GINZA FOREST」のビル。駅周辺は登戸土地区画整理事業の工事が進められています。
 
はじまりは2021年の夏
 
登戸土地区画整理事業が始まる前、GINZA FORESTのビルが立っている場所には、銀座ホールディングス(株)が経営するパチンコ店「P-style」がありました。昭和・平成・令和と地域密着型老舗ホールを経営してきた同社。2021年夏、区画整理事業のため閉店し解体することが決まったビルの屋上を、地元在住のグラフィックデザイナー・スミナツコさんらが企画した交流イベント「幻のまちカフェ」の会場に提供し、間もなくなくなってしまう空間で、地域の子どもたちがシャボン玉や水遊びなどをして楽しい時間を過ごしました。この時のご縁で、スミさんや地域のクリエイターの皆さんは、新たにできる複合施設内にまちに開かれたコミュニティスペースをつくるため、プロジェクトに携わることになりました。
 
上/地元の一級建築事務所に勤める佐々木暁美さん(一級建築士)がみんなで共有したいと、変わりゆくまちの風景をスケッチブックにまとめたもの。解体前のビル屋上で行われた「幻のまちカフェ」に続いてシャボン玉を飛ばしながらまちを歩き、なくなってしまう景色を思い出とともに残しました。下/スミさんは「幻のまちカフェ」の時の写真をブックカバーに。
 
「白いハコ」の一部は、地域の人々が集まってDIYで作りました。壁板にオイルを塗ったり、水回りのタイルを貼ったり、楽しみながら作業を行いました。
 
人が集い、学び、遊びを自由に表現できる、大きな白い箱
 
多くの地域住民の協力により、「白いハコ」は気軽にコミュニティやアート、カルチャーに出会える場所としてスタートを切りました。施設内には、打ち合わせやワークショップ、電話会議などに予約なしで利用できる「カフェスペース」、ワークショップやセミナー、体操などのイベントで新しい学びや発見を生み出すことができる「レンタルスペース」、スペースを借りて自分の好きな本を展示したり、自由に読書を楽しんだりすることができる「駅前本棚」、子どもと一緒にゆっくり過ごすことができる「キッズスペース」などがあり、施設全体を貸し切ることもできます。オープンしてからまだ数週間ですが、すでに子ども向け運動教室やお茶の体験会、ワークショップなどでの利用予約が入っているそうです。
 
「駅前本棚」は人と出会い、コミュニティを築ける場所。ふらっと立ち寄ったら知り合いにばったり会ったり、知らないもの同士でも本を通して会話が弾んだり。棚を借りる会員には月1回店番ができるプランがあり、店番中はその人の本棚に興味があって本の持ち主に会いたいと思っている人や友人などがやってきて、集まったもの同士で意気投合することも。
 
棚を借りた人は自分の好きな本を並べることができます。利用者の職業はサラリーマン、学生、建築士、イラストレーター、グラフィックデザイナーなどさまざま。まるでその人の部屋から本棚の一部を切り取ってきたようで、それぞれの個性が光る、面白い本棚です。
 
たくさんの人に楽しく利用してほしい
 
向ヶ丘遊園駅や登戸駅周辺では屋外イベントが多数開催されていますが、雨や風に悩まされることのない屋内スペースが駅前の一等地にできたことで、ますます地域の人々の交流やまちの活性化が進んでいくことが期待されます。「利用者の皆さんが当施設を使ってやりたいことは、極力実現できるように対応していきたいと思っています」と銀座ホールディングス(株)の鈴木さん。
 
施設名の「白いハコ」には、これから地域の人々に色づけていってもらいたいという思いが込められています。鈴木さんをはじめ、同施設を支える地域の仲間たちが、多くの人にこの場所を知ってもらい、楽しく利用してもらえたらと願っています。
 
銀座ホールディングス(株)の鈴木真紀さん(右から2番目)と「白いハコ」を支える地域のクリエイターの皆さん。左から、同施設の設計・デザインに携わった池谷夏菜子さん(一級建築士・イラストレーター)と佐々木暁美さん(一級建築士)、「駅前本棚」の企画を推進し、まちでも複数のイベントを企画・実行するスミナツコさん(グラフィックデザイナー)。
 
白いハコ
 
 
[INFORMATION]
YUEN・NOBORITO 白いハコ
川崎市多摩区登戸2121-1 GINZA FOREST 2F(小田急線・向ヶ丘遊園駅北口徒歩1分)
TEL:044-455-6525
営業時間:9:30〜21:00(カフェスペース最終入店20:00) ※日曜は18:00迄(カフェスペース最終入店17:00)
定休日:月曜
駐車場:有(有料)
サービス内容:
●カフェスペース/予約不要(受付にて対応)、2時間550円、ドリンク1杯サービス、Wi-Fi・電源無料、コピー・印刷可(有料)
●レンタルスペース/要予約(予約状況により当日利用も可)、1スペースごと6人まで
●駅前本棚/自由に入店可(パソコン作業は不可)、本棚スペースに展示を希望する場合は要会員登録(受付にて申込み)
●キッズスペース/平日午前中のみ(9:30〜12:00)、スペース利用の予約がなければ無料で利用可
●スペース貸切/施設全体の貸切も可(電話または受付にて利用方法を確認)
※施設内は土足厳禁
※ベビーカーはタイヤを拭けば施設内へ持ち込み可
Instagram:@shiroi_hako_