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注目のニュース TOWN TOPICS

日頃から災害時への備えを「麻生区防災のつどい」


 
麻生区防災のつどい
 区民の防災に関する知識の習得と意識の向上を目指し、毎年、麻生区役所で開催される「麻生区防災のつどい」(主催:麻生区自主防災組織連絡協議会)。3月2日に開かれた同イベントには、防災に深い関心を持つ多くの区民が参加し、今回のテーマである「災害時のトイレに関する情報」などについての講話に熱心に耳を傾けていた。以下にその講演の概要をまとめる。
 
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【川崎市の災害用トイレについて】
説明者/川崎市麻生区役所 危機管理担当(川崎市環境局収集計画課 職員 代理)
 
 川崎市は、昭和63年から災害用トイレの購入・備蓄を開始した。川崎市の災害用トイレには、下記の3つの種類がある。
 
●仮設トイレ組立式
 便座下に汚物を溜めるアルミ製の便槽があり、重さは約50kg。倉庫から運ぶには大人4人がかりで、体力があまり無い大人であれば、6人くらいはいないと運ぶことが難しい。基本的には屋外に設置する汲み取り式で、バキュームカーが後で汲み取りに来るタイプのものだが、災害発生時はすぐにバキュームカーが避難所に来られるとは限らない。それを念頭に置き、実際に使う時には、便槽の中に直接排泄するのではなく、ビニール袋をセットしてその中に排泄し、一杯になったらビニール袋ごとゴミとして出し、また新しいビニール袋をセットして繰り返し使うようにする。
 近年、川崎市が導入している仮設トイレは「ドーント・コイ」という名称のトイレ。テントの中が広く、車椅子使用者が介助者と一緒に入るスペースがある。この組み立てには、慣れた人が入っても4人がかりで20~30分はかかる。箱の中に説明書が入っているが、旧式のものだと写真もなく文字だけの説明書で、理解するのに少し苦労する。新式の説明書は写真や絵が入ってるが部品が30~50個はあるので、一度組み立てたことがある人がいないと、やはり多少悩んで組み立てることになる。各避難所にあるので、一度組み立てを経験しておくと良いだろう。
 
●簡易トイレ組立式
 誰でもすぐに組み立てることができる段ボール製のトイレ。とても軽いが、60~70kgの男性が座ってもつぶれないくらい丈夫にできている。これを使用する場合は個室やテント、仕切りなどを用意して、まわりから見えないようにする必要があるが、小さな子どもや介護が必要な人も簡単に使用できるようになっている。これも仮設トイレ組立式と同様にビニール袋をセットして、一杯になったら交換するという使い方をする。
 
●携帯トイレ(汚物処理袋)
 各メーカーからいろいろな製品が出ているが、川崎市が各避難所に用意しているのは、(株)総合サービスの「サニタクリーン」という携帯トイレ。ビニール袋の中にペットシーツのような吸水シートが入っていて、排泄物をビニール袋の中で凝固させて処理できるというもの。排泄物が大量の場合は1回で使い切りとなり、少量でも2~3回で使い切りとなるので、それ相当の数が必要となる。
 
 災害用トイレは、避難所に指定されている小中学校にある、「川崎市備蓄倉庫」や「災害用備蓄倉庫」という看板が付いた備蓄倉庫に、毛布や米、水などとともに収納されている。各避難所での備蓄数は、最低でも仮設トイレ組立式が5基、簡易トイレ組立式が20個(5個入り×4個)、携帯トイレが1,000枚となっているが、これでは足りないだろうと、現在、川崎市は備蓄計画の見直しを行っている。また、災害時に不足した場合は、集中備蓄倉庫から運搬し、若干数だが補完することも可能。麻生区の集中備蓄倉庫は道路公園センターにある。
 災害発生時は断水して自宅でも水洗トイレが使えなくなる可能性がある。断水しているのに普段通りに使ってしまうと、排泄物が溜まり不衛生な状態となり、病原菌や害虫が発生、時期によっては臭いも相当酷くなる。それを避けるためにも、携帯トイレやビニール袋を使って排泄物が残らないようにしなければならない。携帯トイレは前述のように各避難所に1,000枚は用意されているが、当然それだけでは足りないので、各家庭でも水や食料とあわせて備蓄する必要がある。各家庭で備える目安としては、1人1日5枚使うとして、家族の人数×7日分くらい(※)、4人だと140枚は必要だ。携帯トイレは災害用グッズを売っているセンターやネットショップなどで入手できるが、猫を飼っていれば猫の砂とビニール袋で、また、臭いは残るがトイレットペーパーやティッシュをビニール袋に入れるなどして、身の回りにあるものを工夫して代用することもできる。
 環境局による過去の震災時のアンケート結果では、災害が起きてから3時間以内にトイレに行きたくなった人がアンケートに答えた人の31%、6時間以内に行きたくなった人が67%と出ている。生理現象は我慢すると体に悪い。トイレに行く回数は個人差があるが、水分補給と排泄は生きている限り必要なこと。命の安全の確保の次の次くらいにトイレの心配もして準備をしておこう。
 
※川崎市備蓄計画の基本的な考え方では、自助・共助を基本とし、各家庭や企業、事業所などにおいて、「最低3日間、推奨1週間」分以上の飲料水や食料、生活必需品などの備蓄を行う啓発を行っているが、麻生区自主防災組織連絡協議会は、麻生区内では備蓄は「最低7日間」と決議し、広めていく方針。
 
《補足情報》災害用トイレの価格
仮設トイレ組立式/1基30万円くらい
簡易トイレ組立式/1個3千円~5千円くらい(付属品込)
携帯トイレ/1枚100円程度、20枚入りで2千円~3千円くらい
 
川崎市の災害用トイレ
 
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【災害時トイレ用品の紹介と熊本地震の現地視察報告】
講師/(株)総合サービス 御園 太郎 氏
 
災害用携帯トイレ「サニタクリーン」
 (株)総合サービスは、阪神大震災が起きた1996年頃から災害用トイレを生産しており、約20年にわたり災害用トイレに関するノウハウや経験を積んできた。同社の製品は川崎市にも納品されている。
 同社が約20年間改良を重ね、生産してきた携帯トイレ「サニタクリーン」は、見た目はただの袋に見えるが、細かいところまで考えて作られている製品。普段、携帯トイレを使う機会はなかなか無いが、災害時には日頃普通にやっていることさえできなくなることを考えると、事前に一度使っておくと良い。災害時は、まず携帯トイレがどこにしまってあるか探すところから始まり、やっと見つけて出してきても、今度はどのように使うのかが初めてだとわからない。そこで説明書が必要になるが、サニタクリーンは袋自体に説明が書かれているので、説明書を探す手間がかからない。機能面でも、袋の中に吸水シートがくっついていてトイレの便座にかぶせるだけで使え、説明書きを見なくても簡単に使うことができる。災害時は停電して暗い中で作業をしなければならないということもあるだろう。それも考えると、災害用トイレはいかに簡単に使えるかが重要なポイントとなる。
 また、サニタクリーンの吸水シートは水を800cc吸うことができる。袋には斜めの線が入っていて、水分が袋の中央に寄り、端には溜まらない。普段ゴミを出している時に、袋の端に溜まった水分が漏れてしまったり、密封しているとはち切れてゴミ収集車を汚してしまうこともあるが、サニタクリーンはそうならないように作られている。使用後は袋の上の部分が切り離すと紐になり、袋の口を結んで封をして燃えるゴミとして出す。ただし、災害時はすぐにゴミを出すことができないので、使用後も衛生的に保管でき、捨てる時にまわりを汚さないことも携帯トイレとして重要。この条件もサニタクリーンはクリアしている。
 携帯トイレは、地震が起きてからはなかなか手に入らないと思った方が良い。実際に、東日本大震災の時などは全く買えない状況となった。商品があるうちに買っておき、万が一に備える必要がある。今のうちにいろいろと見て、できれば実際に使い、自分が一番良いと思うものを選んで備蓄することをおすすめする。
 
サニタクリーンの使い方の説明をする(株)総合サービス 御園太郎氏
サニタクリーンの使い方の説明をする(株)総合サービス 御園太郎氏(左)
「サニタクリーン」は袋自体に取扱い方法の説明が書かれている
「サニタクリーン」は袋自体に取扱い方法の説明が書かれている
 
熊本地震現地視察報告
●支援物資が届くまで
 約1年前に起きた熊本地震は、直下型地震が起こるとこれだけの大きな被害が出るという、象徴的な地震であったが、今までの震災とは少し状況が異なっていた。
 通常であれば、大きな地震の発生後、国から携帯トイレ発送依頼の連絡が来るのは約1週間後になることが多かったが、熊本地震の時はすぐに連絡が来て、わりと早い時間で現地に携帯トイレを届けることができた。これは、東日本大震災の教訓を生かし、国が被災地からの具体的な要請を待たずに、必要不可欠と見込まれる物資を調達して送り届ける「プッシュ型支援」を行ったことによるもので、また被災府県が複数ではなく、熊本だけの震災だったからこそということもある。このようにうまくいく例は稀であるため、やはり支援物資が届くまでには時間がかかるという心積もりで準備をしておかなければならない。もし、早く支援物資が届いたとしても、1〜2日はかかる。時間にして24~48時間。東日本大震災後に日本トイレ研究所が行った調査でも、3~9時間の間にほとんどの人がトイレに行きたくなったという結果が報告されている。それを考えると、地震発生から3時間くらいで排泄できる状況を作っておかなければならないが、組み立て式の仮設トイレは倉庫から運ぶのに人手が必要で、準備に時間がかかる。地震発生直後は自分で準備した携帯トイレや簡易トイレがあると安心だ。その後、徐々にマンホールトイレが設置され、仮設トイレが届くという流れだが、トイレの充足度が100%になるには1週間くらいはかかると思っておいた方が良い。熊本に関しては、風水害対策は充実しているが、熊本エリアにおける地震発生確率は、ほぼ0~6%という数字が出ていたため、トイレ対策も含めた地震対策は出遅れてしまった印象だ。
●仮設トイレの現実
 時間が経つにつれてトイレの充足度は上がっていくが、最初に届く仮設トイレは和式であることが多く、足が不自由な人などは使いづらい。和式を洋式にするアタッチメントもあるが、市場に出回っている数も少ないため、これが避難所に届いたら非常に運が良い。熊本では実際、アタッチメントが届くまでは、足の曲がらない年配の男性が直接和式の便器に座っていて、ドアを閉めると狭くて介護ができないので、ドアを開けたまま奥さんが介護をしている姿も見られた。これも災害時の一つの現実であり、和式の仮設トイレが届いた場合は、そのような状況になることもあり得るということだ。
 トイレとは、そもそも衛生管理のための施設。災害発生後はトイレが使えなくなるということを予め考える人は増え、一般的になってきているが、その後に手を拭くところまでは考えられていないことが多い。手を拭かずに食事をすることは不衛生であり、手を清潔にすることを考える必要がある。熊本の避難所では、トイレ後の手洗い場が仮設されハンドペーパーが設置されていたが、そのハンドペーパーが不足。代わりにトイレットペーパーを使っていたがちぎれて使いにくいという問題が起きていた。
●トイレの掃除
 熊本の避難所では、トイレの衛生環境については非常に気をつかっていて、トイレ用消毒剤、床洗浄用のデッキブラシやじょうろなども用意されていた。トイレは使えばどんなにきれいに使おうと思っていても汚れてしまう。どのように掃除をするかは避難所の運営の問題となり、後でもめることも多いので、自治会で当番制にするのかなどを含め、事前に決めておいた方が良い。医療関係のボランティアで被災地へ行くと、大体一番最初にやることはトイレの掃除だという。トイレを掃除して清潔に保たなければ、避難所で病気が広がる原因となる。トイレの掃除についても事前に考えておこう。
 
《補足情報》麻生区のマンホールトイレ
川崎市内では主要幹線道路沿いの小・中学校15校のみに設置。麻生区では、麻生中学校、はるひ野小中学校にトイレ専用で使えるマンホールがある。麻生区でマンホールトイレを10基分くらい使えるというところは麻生中学校のみ。
 
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 防災のつどいでは、上記講演の他に、川崎市備蓄計画の見直しや、住宅耐震化の助成制度などについても川崎市職員より説明が行われた。また、会場内には災害時用トイレ用品やその他のさまざまな防災用品が展示され、住宅耐震化相談コーナーも開設。講演終了後に自由に見て回ることができ、質問をする参加者の姿も。常日頃から防災に対して高い関心を持ち、もしもの時に備えることの大切さを改めて考えるイベントとなった。
 
サニタクリーン簡易トイレ階段避難車防災用品防災に関する資料住宅耐震化相談コーナー
 
★川崎市は、川崎市備蓄計画の改定案について意見を募集中 ※3月17日(金)迄
意見募集のご案内(PDF)>>
川崎市備蓄計画の改定案について(PDF)>>
川崎市備蓄計画(改定案)の概要(PDF)>>
 
★木造住宅の耐震改修工事を実施する際、川崎市が費用の一部を助成する制度を利用しよう
木造住宅耐震改修助成制度 >>
 
★家庭での備蓄対策「ローリングストック」
日頃から自宅で利用しているものを少し多めに備えることで、災害時に自宅で当面生活することが可能。常に最小限備えるべき品目・量を保ちながら、多めに備えているものを日常の中で消費していくため、特別な準備は必要ない。このような考え方を「ローリングストック」という。
「ローリングストック」チラシ(PDF)>>