暮らしのコラム 住まい
 
人生100年時代が到来すると、家の寿命も3世代100年住宅が求められ、設計プランニングや建築時の施工管理記録が必要になります。当然、体と同じように住宅も定期点検が必要です。10年間の瑕疵(かし)担保の導入で、「構造耐力性能」と「防水性能」が瑕疵の対象になっていますが、設計・施工に問題がなければ瑕疵の発生はないと言えます。不具合の多くは建具の開閉が渋くなる軽微な事象です。
「前回は水回りのリフォームをした。今回は増築をしたい」との問い合わせがあります。家によっては数回のリフォームを異なる工務店が行っている場合があります。それも設備の更新などにとどまり、健康寿命を考慮した改修は全くされていません。新築時の施工会社が廃業した、遠いなどの理由で無管理状態となり、築年数が経つにつれそうした無管理住宅が増えています。弊社では、3か月、1・3・5・10年と定期点検を実施し、その後も5年毎に点検を行います。家の状態を把握する目的が第一ですが、メンテナンスの時期もお知らせして、必要に応じて事前に改修工事をおすすめしています。時には、お子さんの成長に伴う間取りの変更もあります。木造住宅で築25年以上の戸建ては価値がゼロの「古家」として扱われるのが今まででした。手に入れた住まいが、これでは負債になってしまいます。建築時の工事記録はもちろん、定期的にメンテナンスを実施し、その議事録と写真で家の履歴書が書けるようにしてください。古家の健康状態をしっかりと管理することが、健康な家族を守る資産としての住宅の第一歩です。
 
 
筆者:鈴木 亨(すずき とおる)
株式会社鈴木工務店 代表
一級建築士
 
株式会社 鈴木工務店
町田市能ヶ谷3-6-22
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URL:http://suzuki-koumuten.co.jp/