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【住まいのいいね!】お伊勢参りと再生


 

平成27年3月に第62回神宮式年遷宮が完遂、真新しい白木の宮に参拝すべくお伊勢さんへ出かけました。遷宮では外宮と内宮計125棟が建て替えられたそうです。材料は無節で目の詰んだ素晴らしい檜がふんだんに使われ、よくぞこれほどの材が集まるものだ、そして職人の技術とエネルギーに只々感心しました。20年経った材でも一鉋削れば新品同様で、再利用は大事な行事になります。外宮の正宮棟持柱は、五十鈴川に掛かる宇治橋の大鳥居の柱に、また全国から依頼を受けた神社へ送られ無駄なく利用されるそうです。
 暮に引き渡した住宅は、先々代の母屋の大黒柱が煤(すす)で黒光りした尺角の欅材でした。その柱を6人掛けの食卓と吹き抜けカウンターに再生。小さい頃の暮らしを思い出せるように煤がついた面を小口に出し、記憶のバトンタッチを考えました。
 友人は、伊勢路の路傍に捨てられていた廃材の中から、ラワン材の引出しと思われる箱を発見。手荷物を首に掛け、両手に一つずつ箱をぶら下げて新幹線で東京まで持ち帰ることに。再活用方法がひらめいたそうです。
 モノの断捨離は時に必要ですが、新品を買い込むスペースを準備しているだけかもしれません。捨てる前に再生を考えるのも大事と引出しに気付かされました。引出しのその後を見たくなりませんか。

 

鈴木 亨(株式会社鈴木工務店 代表 一級建築士)

文 ・ 鈴木 亨(すずき とおる)
株式会社鈴木工務店 代表
一級建築士

 
 

株式会社 鈴木工務店
住所/町田市能ヶ谷3-6-22
TEL/042-735-5771
URL/http://suzuki-koumuten.co.jp/

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