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【住まいのいいね!】片付け


 

 江戸後期の浮世絵師葛飾北斎は、生涯で93回引っ越して、ついには以前住んでいた貸家に再入居することになったそうですが、部屋の状態が引き払った時と同じで散らかっていたため、これを境に転居をやめたそうです。整理整頓など全く眼中になかったようです。
 年末は大掃除や片付けの季節ですが、住宅業界では3月・8月と並んで完成・引渡しの時期です。区切りの良い時期に、特に新年を新居で迎えたい気持ちは理解できます。
 弊社では家の設計に入る前に、まず施主様の持ち物の量と整理具合、暮らしの工夫を拝見しています。必ず話題になるのは、使用頻度が低いけれどもたくさんある物についてです。以前、広い廊下が狭くなるほどの物を抱え込んでいた施主様がいました。それらを始末せずに新居に持ち込むことになり、あらゆる場所に収納を設けた記憶があります。世代によって物の質と量は違いますが、タンスの肥やしになっていることが確かにあり、その結果、物の間の空きスペースが暮らしの場所となってしまうことも。処分するのは後ろ髪を引かれる思いですが、新居に移るのですから「片付けのチャンス」ととらえてみてはいかがでしょう。引渡し後の訪問で施主様が日頃から片付けを楽しみ、すっきりとした暮らしの中で物が生き生きとしているのを見て、感動を覚えることがあります。

 

鈴木 亨(株式会社鈴木工務店 代表 一級建築士)

文 ・ 鈴木 亨(すずき とおる)
株式会社鈴木工務店 代表
一級建築士

 
 

株式会社 鈴木工務店
住所/町田市能ヶ谷3-6-22
TEL/042-735-5771
URL/http://suzuki-koumuten.co.jp/

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