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【麻生の人 vol.8】稽古場の中から生まれる 本物の感動を 〜内田 潤一郎さん


内田潤一郎さん

演出家・俳優

内田 潤一郎さん(劇団民藝所属)

 

〜 市民劇「オムニバス」を演出 〜

 

 2012年3月10日、「しんゆり・芸術のまちづくり」企画事業として、川崎市アートセンター・アルテリオ小劇場で市民劇「オムニバス」が上演される。その演出を手がける内田潤一郎さんに、ご自身の演劇との関わりから今回の市民劇上演にかける思いについて語ってもらった。

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 舞台美術家と体育教師のご両親のもとで育った内田さんは、子どもの頃から体を動かすこととものを創ることが大好きな少年だったという。高校でも野球に明け暮れ、その道に進むつもりでいたが肩を壊した。ふてくされて2年間を過ごしたが、手に職を付けようと体育の専門学校に入学。いよいよ就職という時、「自分は本当にこれでいいんだろうかと、問い直してしまったのです」と内田さんは話す。
 3才の頃から父親と劇場に通い、舞台の裏側から芝居を見ていた内田さんは、そこに「客席からは想像もつかない世界」を感じていた。そうした幼少体験が、最終的に舞台スタッフへの道を選択させたのかもしれない。だが、「まずは役者の勉強から」と父親に制されて演劇研究所に入所。劇団民藝に入団してからは他劇団の公演の裏方も手伝い始め、俳優であると同時に演出家や舞台美術家としての活動も広げていったという。

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 15年ほど前から横浜の学校などで演劇を教え始め、その関係で港北区の市民ミュージカルを手掛けるようになったことが、今回、市民劇の演出を依頼されるきっかけとなった。新百合ヶ丘ではプロの芸術活動は盛んだが、一般市民の芸術参加というとなかなかうまくいかない。その糸口を見つけるために、アマチュアと共に活動している内田さんの経験が買われたのだ。「いい芝居がある、というだけでは、人は見てくれません。僕らが一般の方たちのところへ降りていってはじめて、演劇の面白さがわかってもらえるんです」と内田さんは言葉に力を込めた。
 今回の市民参加モデル作品「オムニバス〜バスたちの物語」は、その稽古風景を劇場空間で演じるという興味深い試みだ。桐光学園の生徒2人を含むアマとプロが混在した出演者らは、1か月あまり内田さんのもとで稽古を重ねる。「芝居で面白いのは実は稽古。今の世の中は何でも早く結果を出そうとするけれど、大事なのはその過程。笑いや悲しみや喜びやいろんなものが生まれて、それが感動につながるのです。とにかく見に来て、生の芝居の楽しさを、味わってください」。内田さんの言葉の一つひとつには「生きている元気」が溢れだしていた。

 

劇団民藝公演の様子
俳優としても活躍する内田さん劇団民藝公演「喜劇 ファッションショー」より(写真:里居久恵)

 
 

【問合せ】
URL/http://www.shinyuri-art.com/
※公開情報詳細は「しんゆり・芸術のまち」H‌Pに掲載

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