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【麻生の人 vol.9】本を手渡す 温もりを大切に 〜ゆりの子会


故・渋谷益左右館長と妻のたけさん

ボランティアグループ

ゆりの子会(写真は故・渋谷益左右館長と妻のたけさん)

 

〜 私設ゆりがおか児童図書館閉館へ 〜

 

 東百合丘の住宅街に佇む、赤いとんがり屋根の私設ゆりがおか児童図書館。1976年の開館以来、多くの子どもたちがここで本や遊びに夢中になり、学んできたが、2012年3月31日に惜しまれつつも閉館することが決定した。

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 同図書館は、子どもたちに本との出会いを提供したいと、故・渋谷益左右館長が定年退職後に私費を投じて妻のたけさんと開設した。渋谷館長は図書館に通う子どもたちを「本の小さな旅人」と呼んだ。旅人たちは成長して旅立った後も、ふと図書館を思い出して再び訪れる。そこにはいつも変わらない、温かい空間が広がっている。
 開設の翌年にはボランティアグループ「ゆりの子会」が発足。図書館の運営を長年にわたって支えてきた。
 ゆりの子会では、カウンター業務や本の整理をはじめ、おはなし会や人形劇など、その他の活動も数多く行っている。その活動は広く認められ、各界の権威ある賞を受賞。今では子ども文化センターなどでの外部公演も行い、親子が笑顔で過ごせる時間を提供している。
 忙しくても長く活動を続ける会員が多い背景には、自主性を重んじて活動に理解を示してくれた渋谷館長夫妻の存在がある。館長夫妻が作り上げた、一人ひとりが認めてもらえる自由な図書館は、会員にとっても居心地の良い場所だった。

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 閉館が決まった今、ゆりの子会は閉館の日に向けた業務も着々と進めている。2011年11月には図書館の歴史を振り返る展示会を市立麻生図書館内で開催。2月には35周年記念誌も発行した。最後の片付けまで感謝の気持ちを込めてしっかり行いたいと思う一方で、渋谷館長の理念を継承し、子どもたちに本を手渡す活動を続けたいという思いが湧き上がった。活動の中心であった図書館がなくなるという現実と向き合いながら、まずは何をすべきか考え、道を探すため、新たに「子どものための図書館活動を考える会」を発足させた。ゆりの子会代表の米倉由布子さんは、「ゆりがおか児童図書館は閉館しても、素晴らしい本の世界はなくなりません。子どもたちには素敵な本を手渡す人が必要です。本を手渡す時の温もりの大切さを伝えていきたい。児童図書館のような、子どもと本、人と人をつなぐ場所を作ることを目指して、できることから始めたいです」と溢れる思いを静かに語った。
 いつの日かまた、「本の小さな旅人」たちが楽しそうに本を読む姿が見られるかもしれない。

 

私設ゆりがおか児童図書館
私設ゆりがおか児童図書館

 

ゆりの子会員の皆さん
2011年11月のゆりの子バザーで集まったゆりの子会員の皆さん

 
 

【問合せ】
私設ゆりがおか児童図書館
TEL/044-954-1740(月・水・土 13:00〜17:00)
※2012年3月12日〜18日は毎日開館。詳細はマイタウンあさお版2012年3月1日号2面の催しイベント欄参照。

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