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【風のタイムトリップ vol.17】猛暑も吹き飛ぶ東京百景の弁天洞窟


 
 今月は、暑さも忘れ、ゾクゾクするようなとっておきの場所をご紹介する。よみうりランド正門前から京王よみうりランド駅に至る通称「ランド坂」の中腹にある威光寺という真言宗豊山派のお寺。その境内の最奥にあるのが、新東京百景の一つにも数えられる「弁天洞窟」だ。
 もともと弁天洞窟の入り口から10メートルほどの部分には横穴式の古墳があり、すでに開口していた。それを1884年(明治17年)に、当地に住む小俣勇造という和算の指導者が設計して掘り進め、現在のような全長65メートル、広さ660平方メートルの洞窟に広げたという。では1500年も前の石室をなぜ再び掘ったのだろうか。それにはこんな話が残されている。   
 その昔、威光寺周辺の小沢峰山には大蛇が棲んでいるという言い伝えがあった。ある夜、里人の一人が、大蛇が現われて弁財天と化す夢を見た。そこで、稲城村の村長、原田所左衛門ら28人がこの洞窟を掘ったところ、中に弁財天を見つけた、というものである。

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 めまいがしそうなほどに暑い陽射しが照りつけるある日の午後、弁天洞窟を訪れた。寺の事務所で拝観料を払うと、洞窟の由来が書かれた拝観券と、棒の先についた細いローソク、そしてオリジナルのマッチ(持ち帰り可)を渡された。いよいよ洞窟探検の始まりだ。
 入り口から最初の角を折れると、そこはもうまったく光の届かない暗闇。そして驚くことに、外気からは想像もつかない冷やりとした空気が辺りを漂う。それから先のことは入ってからのお楽しみなので、ここでは詳しく明かさない。ただ一つだけ、ローソクの明りだけでは内部をよく見ることができないので、懐中電灯を持参することをおすすめする。
 洞窟内には言い伝えの大蛇の化身である弁財天や大黒天、毘沙門天、文殊菩薩など、23体もの石仏が祭られているが、これらはかつて、近くの穴澤天神社の北側斜面の横穴に安置されていたものが移されたものだとも言われている。一周約15分ほどの行程だが、こんなにスリリングな名所が近くにあったとは知らなかった。夏休みはもう終わりだか、暑い季節にぜひ、親子で訪れてほしい。

 
洞窟入り口
あの世への橋のような入り口
 
十五童子
十五童子
 
白蛇と三カ月の池
壁に彫られた白蛇と三カ月の池
 
文殊菩薩、弁財天、毘沙門天
左から文殊菩薩、弁財天、毘沙門天
 
風のタイムトリップ17回地図
■威光寺(弁天洞窟) 稲城市矢野口2411

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