麻生区・新百合ヶ丘エリアの地域情報紙 マイタウン > 連載・コラム SERIES > 風のタイムトリップ > 【風のタイムトリップ vol.18】稲城市百村の妙見寺に今も伝わるユニークな伝統行事「蛇より行事」

連載・コラム SERIES

【風のタイムトリップ vol.18】稲城市百村の妙見寺に今も伝わるユニークな伝統行事「蛇より行事」


 
 京王線稲城駅からこんもりと生い茂る南西の森の方に向かって10分ほど歩くと、妙見寺というお寺に突きあたる。そこからさらに急な石段を上っていくと北辰妙見尊を本尊とする妙見宮がある。北辰妙見は太一北辰尊星といい、諸々の星の上首で、わが国の朝廷では古くから正月元旦に北辰尊星を拝み、天下泰平・五穀成熟・富貴万福・如意吉祥を祈念していた。
 妙見寺の縁起によると、760(天平宝字4)年、伏敵祈願のため、道忠禅師が淳仁天皇の勅命を奉じて尊星王の秘法(今の星供)を七日七夜修したところ、妙見菩薩が青竜に乗って現れ国難が消滅、大変喜んだ天皇が一宮(妙見宮)を建立したことが当山の開基と伝えられている。その後、1112(天永3)年の鳥羽天皇の時代に、当地の領主が妙見寺を妙見宮の別当と定めた。つまり妙見寺は全国でも数少ない神仏混淆のお寺だ。

* * *

 この妙見寺では、毎年8月7日に「蛇より行事」という珍しい伝統行事が行われる。村人らが青茅をより合わせて編んだ長さ約200メートルの蛇を奉納する行事で、雨乞いや厄除け、病災を消滅する御利益があるとされている。起こりは1662(寛文2)年、諸国に疫病が流行した折に、稲城市百村町で疫病退散・五穀豊穣などを祈るために始まったもので、以来今日まで350年に渡って続いており、1992(平成4)年3月には都の無形民族文化財にも指定された。
 行事の当日は、北辰妙見尊の言い伝えに関わる北斗七星になぞらえた7人の村人が、朝早くに茅を刈り出し、妙見山の広場に日干ししておく。午後になると多数の奉賛会会員が集まって足場を組み、蛇の胴と頭を別々に編み上げる。頭は上顎と下顎、舌の部分を合わせて角も付ける。蛇の胴が編み上がると、参拝者全員で妙見宮の参道に沿って担ぎ上げ、最後に二十三夜塔の前で胴と頭をつなぐ。そして、その間修法を行っていた妙見寺の住職によって蛇に魂入れを行い(頭をお神酒で清める)、行事が完了する。編み上げた蛇の体に触ると1年間病気をしないとも言われおり、お宮の行事をお寺の住職が執り行うという、全国でも他に例を見ない貴重な行事だ。妙見宮の参道と鳥居は、山裾を走る鶴川街道からも、はるか上の方に鎮座しているのが望める。
 
蛇の胴
青茅をより合わせて編んだ蛇の胴
 
蛇の頭
蛇の頭
 
妙見寺山門
妙見寺山門
 
風のタイムトリップ18回地図

カテゴリー
CATEGORIES

連載・コラム SERIES