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【食を愉しむ】伝統野菜「万福寺人参」


 
万福寺人参
 
 すらっと伸びた鮮やかな紅色の「万福寺人参(万福寺鮮紅大長人参)」は、戦後、滝野川人参(東京大長人参)を品種改良して誕生。昭和30年代まで麻生区周辺で盛んに栽培され、東京の市場などに出荷されていました。60〜80cmという長さになるため深い土壌が必要で、特に土壌が栽培に適していた百合ヶ丘(弘法の松の高台)で熱心な栽培が始まりました。昭和23年には県の第1回農産物品評会で上位入賞。明治神宮で開かれた全国農林産物品評会では昭和29年から5年連続「農林大臣賞」を受賞。「日本一の人参」として全国に知れ渡り、柿生駅から全国へ出荷され同地を代表する農産物に。その後、経済成長の波を受けて宅地化が進み畑が減少、更に深い土壌作りの負担などを理由に次第に市場から姿を消しました。また消費者ニーズの変化から保存しやすい短根種への改良が進み、三寸人参や五寸人参が普及していきました。現在、「次代へ地域の伝統農産物を残そう」と、農家や一般愛好家による「万福寺人参友の会」が栽培に取り組み、年1回の品評会の他、農家が地元直売会やセレサモス麻生店に出荷しています。万福寺人参独特の強い香りと柔らかい肉質、甘みを懐かしむ人たちから、収穫期の12月には煮物の食材として人気を博しています。

 
齋藤 俊和( JAセレサ川崎 経営企画部広報課 課長)
文 ・ 齋藤 俊和(さいとう としかず)
JAセレサ川崎
経営企画部広報課 課長
 
 
ファーマーズマーケット セレサモス 麻生店
住所/麻生区黒川172
TEL/044-989-5311
URL/http://www.jaceresa.or.jp/

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