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【風のタイムトリップ vol.55】生田の丘陵の中に眠る1300年前の古墳群


 
 小田急線の生田駅から津久井街道を登戸の方向に15分ほど歩き、根岸陸橋を府中街道に沿って左折すると根岸稲荷歩道橋がある。その東側の丘陵の中に、7、8世紀のものと考えられる根岸古墳群がひっそりとある。

 歩道橋の袂から始まる坂道を、丘陵を目指して登っていくと、行き止まりの左手に赤い鳥居の三峰神社。そこから古墳群に至る竹林の遊歩道が始まるが、個人所有地なので、中には立ち入ることのないように歩きたい。竹林を通り抜ける気持ちの良い風と木漏れ日の中を進むと、右手に朽ちかけた柵があり、消えかけた文字で「根岸古墳」と書かれた丸木が立て掛けてあった。その先を見ると丸いこんもりとした小山がある。これが古墳なのか。そして竹林の奥にも、もう一つ小山らしきものが。道はそこから下りになるが、竹林の下の方にもさらに小山を見つけることができた。遊歩道に案内板のある4号墳が5基中最大のもので、直径約19メートル、高さ2.2メートルの大きさだという。あとの2基は(調べると少し離れた丘陵先端部の斜面に築かれているとの説明)、残念ながら見つけることができなかった。

 ところでこの根岸古墳群は、1951(昭和26)年の県道拡張工事の際に、2基の古墳が発掘調査された。木棺を納めてある古墳の内部は礫槨(れきかく=棺の下方および側方に礫を詰め上方を被覆するやや簡略な埋葬施設)で、副葬品としては須恵器、直刀の破片、玉類などがあったという。また古墳の周りには、葺石や埴輪などは全くなく、周溝も巡らされていなかったようだ。副葬品の年代や小円墳がいくつかまとまってある群集墳という形態を考えると、根岸古墳群は古墳時代終末期(7世紀後半から8世紀)に築かれた古墳群であることが予想できるという。

 風と、竹がきしみ合う音だけが響く静かな竹林に佇み、ここに1300年も眠り続けている先人の魂に思いを馳せた。
 
三峰神社
古墳群遊歩道の入り口にある三峰神社
 
竹林の中の古墳
竹林の中に見える古墳のひとつ
 
日向山の森
道路の反対側、地域住民らが里山の育成に努める「日向山の森」
 
第55回地図

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