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【風のタイムトリップ vol.52】木賊の里に佇む火伏せの神様 麻生不動院


 
 小田急線・柿生駅からバスで10分「麻生不動入口」で下車し、次の道を右折して不動橋を渡ると、右方の丘へ登る坂道の途中に、麻生不動院がある。木賊(とくさ)不動尊とも言われるが、昔、丘上の亀井城から同院までは木賊がたくさん自生して「木賊ヶ原」と呼ばれたことに由来すると言う。
 寺の縁起によれば、麻生不動は応永年間の1394〜1427年に、足利公方(関東管領を務めた足利氏)の庇護を受けて堂舎が建てられた。そして鎌倉二階堂の大楽寺を開山した願行上人が、不動尊三体を作り、一体は自坊に、他の二体を相模の大山と、ここ武州麻生郷の不動院に安置したと言う。その後、荒廃しかけていたのを1851(嘉永4)年に僧の良円が再興し、王禅寺の下で維持されるようになった。現在の本堂は1968(昭和43年)に再建されたものである。
 ところでこの不動尊は、昔から「火伏せの不動」と呼ばれ、火難から人を守る神様として信仰されてきた。そのため1月28日の縁日には、津久井地方の城山や東海道の川崎宿からも参詣人が訪れ、大変に賑わったと言う。参詣客は火伏の利益があるという銭をもらって帰り、それを家の囲炉裏の自在鉤にかけておくと、火事にならないとか、子どもが炉に落ちないとされた。そしてもし一年間、何事もなく過ごせれば、翌年の縁日に昨年の銭に御礼を添えて返し、新しい火伏せ銭をもらったそうだ。この慣わしは、囲炉裏のある家に住まなくなった現在にも伝えられ、毎年1月の縁日には、多くの参詣客がご利益のある銭やお札を買いに訪れる。麻生不動尊はまた「関東納めのダルマ市」としても有名で、同縁日には境内とその周辺にダルマ市が立って大賑わいとなる。
 どんよりとした梅雨空のある午後、雨の合間に不動尊を訪れた。人ひとりいない深閑とした境内のどこからか「よよよい、よよよい、よよよいよい!」というダルマが売れた時の威勢の良い掛け声が聞こえてくるようで、なんだか元気が出た。
 
麻生不動院境内
ダルマ市の賑わいがうそのような、夏の麻生不動院の境内
 
ダルマ市
毎年1月の縁日に、麻生不動院で開催されるダルマ市
 
52回地図

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