麻生区・新百合ヶ丘エリアの地域情報紙 マイタウン > 連載・コラム SERIES > 風のタイムトリップ > 【風のタイムトリップ vol.47】野津田村を潤した薬師池の歴史と四季を楽しむ公園

連載・コラム SERIES

【風のタイムトリップ vol.47】野津田村を潤した薬師池の歴史と四季を楽しむ公園


 
 小田急線町田駅からバスで30分ほどの所にある薬師池公園(「日本の歴史公園100選」にも選定)は、どの季節に訪れても歴史・景観ともになかなか見どころの多い公園だ。公園のある野津田村は、古く戦国時代には北條氏照の領地で、領内の高野山真言宗華厳院(729〜749、行基の開山と伝えられる)は、荒廃のため、室町時代末の1576年、僧・興満によって再興され、福王寺薬師堂と称された。
 一方、薬師堂のほとりの薬師池は、江戸時代には「福王寺溜井」と呼ばれ、もとは1590年頃、領主の北条氏照が、野津田の武藤半六郎(河井家の祖先)に開拓を命じたものであった。農業用水のための溜池として耕地をつぶして造営し、寛永年間(1624〜1643年)に完成したという。この溜井は70間×28間(126メートル×50.4メートル)ほどの規模があったが、宝永4(1707)年の富士山の噴火による降灰で埋まってしまった。このため大塚村や小山村、高ヶ坂村などから人足が出て、3年間に渡って泥砂を浚う「浚い普請」が行われたという。その後、文化14(1817)年にも溜井は泥砂で埋まり、渇水状態となってしまったため、村人たちは、日照りにあえぐ約7ヘクタールの水田のために普請願を提出し、池を堀り直して今に至っているという。
 春の陽光をキラキラと映して佇む薬師池を訪れると、かつてのそんな出来事が信じられないようなのどかな空気が流れている。池にかかる太鼓橋を渡ると、今が満開の梅林から得も言われぬ香りが漂ってきた。園ではこの先の季節も桜や藤、ハナショウブなどが楽しめるが、7月下旬から8月にかけては、公園入口のハス田で、落合遺跡で発掘された2千年以上前の古代のハスの実から発芽・開花した「大賀ハス」も見ることができる。
 
薬師堂
薬師堂池公園の再奥の丘上に位置する薬師堂
 
薬師池
江戸時代から溜井として村を支えた薬師池
 
蠟梅
古民家の脇に香る蝋梅
 
地図

カテゴリー
CATEGORIES

連載・コラム SERIES